「自動運転」で覇権を握るアメリカ企業はどこか 自動車業界だけでなく業種超えた展開本格化

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ライドシェア企業も自動運転への取り組みを進めている。3月29日にNASDAQ上場を果たした前述のリフト(LYFT)は、2017年に自動運転プラットフォームの開発をスタートさせている。翌2018年にはアプティブと提携し、ラスベガスで自動運転タクシーの実験サービスを開始。1年間で乗車5万回を達成し、利用客の平均評価は5段階で4.97だったと発表している。

一方、5月10日に上場したウーバー(UBER)は、2016年よりボルボ・カーと共同で自動運転車の開発を進めてきた。2018年3月に、自動運転車の公道試験中に歩行者をはね死亡させるという事故を起こしテストを一時中断していたが、現在は再開している。

2018年8月にトヨタとの協業拡大とトヨタからの5億ドル出資受け入れを発表、今年4月にもトヨタやデンソー、ソフトバンクグループから10億ドルの出資を得た。ここから自動運転ライドシェアカーの量産とサービス実用化の加速を図る考えだ。

業種を超えたコラボも実現する

小売業でも自動運転車を使ったサービスの開発が進んでいる。世界最大の小売業者ウォルマート(WMT)は2018年7月にウェイモと提携し、ネットショッピングで購入した商品を店舗で受け取る利用者を自動運転車で送迎するサービスをアリゾナ州フェニックスでスタートさせた。また2019年1月からは、自動運転車開発のスタートアップであるudelvと提携し、自動運転車を利用した商品の宅配試験も始めている。

ウォルマートに次ぐ小売業大手のクローガー(KR)も、小型の商品輸送用自動運転車開発に特化したスタートアップのニューロ(Nuro)と提携しており、2018年8月よりアリゾナ州で自動運転車による商品配送サービスを始めている。当初は自動運転機能を搭載したプリウスでスタートし、同年末にはニューロのオリジナル車両による完全無人配送に切り替えた。今年4月からはこのサービスをテキサス州にも拡大している。

自動運転に関連する分野には、クルマそのものの開発からそれを利用したサービスまで、大手からスタートアップまで入り乱れて、さまざまな業種の多くの企業が関心を示している。今後、新しい技術やサービスが登場する可能性も高く、関わる企業はまだまだ増え、業種を超えたさまざまなコラボレーションも見込まれる。本格的な攻防はこれから始まるのかもしれない。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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