「実際、少し紙媒体もやったのですが、難しいなと思いました」
紙媒体はウェブ媒体に比べて、締め切りが厳しい。「遅れちゃいました」では済まされない。
また、紙媒体は古いやり方をしている人も多い。「やしろさんが送ったネーム(下描き)を刷り出した紙に、赤ペンで赤入れ(修正指示)をし、それをスキャンしたファイル」がメールで送られてきたときには、
「なんでそんな面倒くさいことを……。もっといいやり方があるのでは?」
と面食らったという。また
「なにかと電話で話したがる」
「都内まで呼び出されて足を運んだら、30分で用事が終わった」
など紙媒体の編集にありがちな、旧弊的なやり方に閉口する部分が多かった。
「僕はとにかく電話が苦手で、電話がかかってくるたびに『死の宣告』されているような気持ちになってしまい、精神をやられてしまいました」
やしろさんは、「自己プロデュースが得意な人は『漫画家と編集がタッグを組む』という昔ながらのやり方をする必要はないのではないか?」と考えている。やしろさんには現在担当編集は何人もいるが、連絡を引き継ぐなど連絡係的な仕事しかしていないという。
逆にSNSの使い方が下手な人や、自己表現が苦手な人は、編集がブレインになり、うまくやっていくのがいいと思う。
「でも夢として『完全オリジナルギャグ漫画』を、紙媒体で描いてみたいという気持ちはあります。今やると、おそらく迷惑をかけると思うのでできませんが、将来的にはやってみたいですね」
漫画を描けなくなったときの備えもしている
「完全オリジナルギャグ漫画」を作るには、漫画を製作する時間を確保しなければならない。
「もっと仕事を組織化していきたいですね。今は奥さんに連絡を手伝ってもらって、アシスタントを1人雇っていますが、まだまだうまく運用できていません。
もっと作画のための人を雇うなどして、作業効率化を進め、時間を作っていきたいですね」
逆に、右手を負傷するなどして漫画が描けなくなってしまったときのことも考えている。
「漫画専門のインフルエンサービジネスをしている、wwwaapの執行役員に就任しています。もともと、担当の編集が独立して作った会社でした。PR漫画を専門にする会社です。
また、オタク専門の不動産会社『おたくのやどかり』を運営する株式会社グランツアセットの執行役員にも就任しています。
どちらも『もし漫画が描けなくなったら』という保険という面はありますが、どちらも自分のやりたいことであり、楽しんでやっています」
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