日野日出志さん(73歳)は日本の“怪奇漫画家”の代表的存在だ。
『蔵六の奇病』『悪魔が町にやってくる 恐怖!!ブタの町』『恐怖・地獄少女』などなど、タイトルからしてすでに怖い。
筆者も小学生時代に読み、ずいぶん怖がったのを覚えている。とても不吉で忌まわしい雰囲気の漫画なのだが、それでももっと読みたくなる不思議な作品だった。
久しぶりの新作は「絵本」
2000年ごろからあまり新作は発表していなかったが、先日『ようかい でるでるばあ!! 』(彩図社/寺井広樹著、日野日出志絵)という作品を上梓した。この作品は妖怪をテーマにした絵本だ。もちろん怖い面はあるものの、ユーモラスさが目立つ作品になっている。
実は日野さんにとって絵本製作は、長年の夢だったという。
なぜ、日野さんは怪奇的な漫画を描くようになったのか。そしてなぜ今、優しさのある絵本に行き着いたのか? 埼玉県にある日野さんの職場兼自宅で話を聞いた。
日野さんが生まれたのは、旧満州のチチハル市だった。
「俺の親父が満鉄の職員でした。ポッポ屋ではなくて建築屋で、駅舎、官舎など建物の保全をやっていました。他人には親切な人で、中国の人からも信頼されていたみたいです」
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