「複数の会社から『面接はいいからウチに来てくれ』って言われました。素直に『就活スキップじゃん!』ってうれしかったですね」
やしろさんは、何社かの会社をまわり、とあるゲーム会社に就職した。携帯電話用のソーシャルゲームを作る会社だった。
企画力を買われて入社したため、ゲームの新しいアイデアを考えたり、ストーリーを書いたり、武器の名前を考えたりした。
「でも、すぐに会社に行くのが嫌になってしまいました。横浜から新宿に通っていたのもしんどかったですし、チームプレイにも向いてませんでした」
通勤をサボっているうちに正社員から、契約社員になり、そして最終的には首を切られてしまった。
半年でリタイアになったが、企画力を買われセガから声がかかった。
「自分で言うのも恥ずかしいですが、アイデアは当たることが多かったです。そういう能力はあったんだと思います」
新しい職場は、電車で30分と比較的近かった。社内の企画コンテストで1位になるなど、実績を出すこともできた。大手の会社だけあって、給料も待遇もとてもよかった。
「すごくいい会社だったんですが、それでもキツくなってきました。前の会社は遠かったし、仕事もしんどかったからダメだったんだと思っていたんですが、そうじゃないんだなって気づきました。会社に行くことを自分の内面が拒否してるなって思いました」
漫画を描き始めたが、原稿料は微々たるものだった
会社を辞める前に、現在の漫画に通じる漫画を描き始め、ツイッターにアップするようになった。
「漫画の収入が、会社の給料を抜いたら会社を辞めようと決めました。
続けるうちにフォロワーは順当に増えていき、まれにポンと跳ねることもありました。ただマネタイズはできていなかったです」
そして『つぶやきGANMA!』などのウェブ媒体で連載を始めたものの、原稿料は微々たるものだった。
そんなとき、動画投稿サイト「Vine」に投稿した動画がバズった。やしろさんが部屋で人形遊びをしている様子を母親が見ていた、という短い動画だが、一時的に再生回数が世界一になった。
またツイッターに投稿した漫画が15万回以上というとんでもない数、リツイートされた。それは『スタバで見た小学生達の話』という、やしろさんがスターバックスコーヒーで実際に見た小学生たちを描いた4コマ漫画だった。その年の、RT数ランキング3位という快挙だった。
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