やしろさんは神奈川県横浜市で生まれた。
「家の前が幼稚園だったんですけど、『お母さんが来ないと嫌だ』って泣いちゃうような、甘えん坊な子どもでしたね」
小学校時代はごく普通に暮らしていたが、小学4年生のとき、父親が亡くなってしまった。
「父は仕事で世界を飛び回って働いている人でした。父が多少のお金を遺してくれたので、金銭的な苦労はなかったです。それ以降、母に女手一つで育ててもらいました。
母と今でも仲がいいのは、父の死が影響していると思います」
小学生の頃は、友達はいたものの、家で漫画を読んだり、ゲームをしたりするのが好きだった。その頃の夢は漫画家であり、執筆もしていた。小学館の『月刊コロコロコミック』のファンで『スーパーマリオくん』(沢田ユキオ)のような漫画を描きたいと憧れていた。
母が入院すると、ひきこもってゲームをしていた
父の死後、徐々に引きこもり気味になっていった。
「中学に進学して、引きこもりが悪化しました。ネットゲームにめちゃくちゃハマってあまり学校に行かなくなりました。正確にはテニス部には行っていたのですが、授業には出ませんでした。クラスのみんなにも『レベル99になるまで学校に来ない』って宣言してました」
中学2年生のときに母親が目の病で入院した。手術を必要とする病気だったため、1カ月ほどの長い入院生活になった。
「『これはチャンスだ!!』って思ってまったく学校に行かなくなりました。おばあちゃん、おじいちゃんと一緒に住んでいたんですけど、学校に行くふりをして玄関から外に出て、別の入り口からそっと部屋に戻りました」
自室に戻ると、ひたすらパソコンでゲームを続けていた。しかし実は祖母にはやしろさんの行動はバレていた。
祖母は入院している母親に事態を相談した。
「母親が退院して家に帰ってきた瞬間に、パソコンを窓から投げ捨てられました。
『学校行ってないでしょ!!』
って怒られました。僕の人生で、母親にいちばん迷惑かけていた時期でしたね」
そんな中学時代にも漫画は描いていた。
「『バトル・ロワイアル』にハマっていて、クラスのみんなが殺し合う漫画を描いていました。でも描いている途中に不良に見つかってしまいました」
やしろさんが通う学校にはまだ不良がいた。彼らに嫌なちょっかいをかけられるのも、学校に行かなくなった原因の1つだった。
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