「悪口」を文豪が語るとこんなにも人間くさい 相手を鋭く刺したり、単に感情的だったり

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いやしいねえ。実にいやしいねえ。
自分が、よっぽど有名人だと思っているんだね。
(24ページより)

バスに乗ったときに有名作家を見かけ、膝の上で本を読んでいる様子が気に入らず、このような言葉を吐いたという。

なんだ。君は。こんな贅沢な室で、
おまけにストーブまでついていて、
そのうえ、親切な姉さんまでいて、
それでも、いい小説が書けんのかねえ
(28ページより)

義兄の家の離れを借りて住む友人・中村地平への言葉。「作家としては、地平は、苦労がなさすぎるのかもしれないね」と続けると、「あんたの小説は、その自意識の苦労が多すぎるのじゃないか」と反論された。

蛞蝓(なめくじ)みたいにてらてらした奴で、
とてもつきあえた代物ではない
(29ページより)

中原中也をけなした言葉。太宰は中也を尊敬していたものの、よく絡まれるため一緒に飲むのを嫌がっていた。

初対面の相手にも喧嘩を売った中原中也

「汚れつちまった悲しみに」「サーカス」など哀切ある詩が、今日でも多くの人々から支持されている中原中也。また、その規格外の言動が話題に上ることも少なくない。

中也は、常識の破壊を掲げる「ダダイズム」に傾倒していた。そんなこともあってか実生活においても常識の範疇に収まることはなく、友人にむちゃぶりをして困らせることは日常茶飯事。初対面の相手にけんか腰で絡むことも少なくなかった。例えば太宰治は、初対面で中也に絡まれて辟易している。中也に対する上記の悪口にも、そんな理由があるのだ。

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