「悪口」を文豪が語るとこんなにも人間くさい 相手を鋭く刺したり、単に感情的だったり
その一方、中也の型にはまらない自由な言動にひかれる者も多かった。事実、小林秀雄、檀一雄、大岡昇平など、あるいはその他多くの画家や音楽家、研究者との親交が中也にはあった。
しかし、すぐ人に絡むものの中也は小柄であり、決して喧嘩に強いわけではなかった。実際、友人の檀一雄や坂口安吾に食ってかかることがあったが、腕っぷしの強い彼らには簡単にいなされていたのだそうだ。
また、むちゃぶりに耐えかねた相手から反論されると、捨てぜりふを吐いたりすることもあったという。
友人たちへの破天荒な言動
(34ページより)
初対面の太宰治に対し、中也が放った言葉。尊敬していた中也に絡まれた太宰は萎縮し、ろくに話すことができなかった。
(35ページより)
上記の発言に続き、中也は太宰に好きな花を聞いた。太宰は泣き出しそうになりながら、こう答えた。
(36ページより)
ヘゲモニーは「権力者」の意。坂口安吾に対し、この言葉を投げかけて殴りかかった。安吾によれば、中也の好きな娘が安吾を好いていたため嫉妬したのだとか。ただし大柄な安吾を恐れてか、中也は1メートル以内には近づいてこなかった。
(39ページより)
大勢で飲んでいたとき、中也はこう言いながら中村光夫の頭をビール瓶で殴った。本当に殺すつもりはなかったものの、そんな中也に対して友人の青山二郎が「卑怯だぞ」と怒鳴ると、「俺は悲しい」と泣き叫んだそうだ。
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