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東大教授が教える「文系人が数学を楽しむ方法」 "数学アレルギー"のままではもったいない

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  • 西成 活裕 東京大学先端科学技術研究センター教授
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「何だよ、それ」と思うかもしれませんが、「同じ数をかけたら、その数になるものをルートで表そう」という数学の決まり事なので仕方ありません。したがって、最初のクイズの答えは√4でも正解です。ただし√4は2と同じなのです。

記号の答えで気持ち悪い……と感じるでしょうか? 確かに、定規に√3と書いてあるわけではありませんから、いったいどのくらいの大きさなのかわかりづらいですよね。そんなときはどうするか――そう、電卓を使えばいいんです。「えっ!? そんなのズルイ!」という声が聞こえてきそうですが、これはズルではありません。

オトナの私たちは、そういう細かい計算は思いきってショートカットしてしまいましょう。そうすると√3の正体は1.732……という数字であることがわかります。

②シグマ Σ

1から3までの数字の足し算は、1+2+3と書きますね。それでは1から100までの数字の足し算はどうやって書けばいいでしょうか?1+2+……と真面目に書いていくと、ノートがもったいないですね。そこで登場するのが便利な記号であるシグマです。「Σ」と書きます。

実際にはΣの記号の後に1つ文字を書きます。それは何でもいいのですが、例えばkとするとΣkとなります。プロなら文脈から大体わかるのでこれでOKなのですが、正確に書くと「このkが1から100まで順番に変化し、それをすべて足しなさい」という意味で、

と表します。シグマの上下に和の開始と終了の数字を書くのです。これが足し算を表す決まり事です。とりあえずこれを絵だと思ってカッコよく描いてみてください(笑)。

この見慣れない記号は、実はギリシャを旅行すると街でよく見かけます。ギリシャ文字のSに相当するもので、「和」を表す英語「Summation」の頭文字と関係しています。Excelを使う方であれば、和を表す関数が「SUM」ですから、なじみ深いかもしれませんね。

数字のその向こうにある物語

③イプシロン ε

このように数学の記号は、ギリシャ文字を使う場合がとても多いです。その中で最後に1つ、数学でよく使われる記号「イプシロン」を紹介しましょう。これは小さい数を表すときに必ず登場する記号です。0.00001や、あるいはもっと小さい数をイメージして使う便利な記号で、この「ε」を見ると数学者は「無視できるぐらい小さい」と考えます。うまくクルクルっと描いてみてください。

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日常でも、「君の貢献度はイプシロンだね」と言って笑う人がいたら、確実にその人は数学者です(笑)。ただこの記号、女子学生の間では「キス」の意味でメールに使われているようです。たしかにチューの口の形に似ていますね。

いかがでしょう。「数学ってちょっとだけ面白いかも?」と思えましたか? そこまでいかなくとも、記号の意味を知るだけで、数学の世界が少しでも身近に感じられたら、ハードルがグッと下がるのではないでしょうか。

こんなふうに、考えてもラチが明かないものや、割り切れない数字のように扱いづらいものを、仮想的に導入した記号をうまく使いながら一時的に扱いやすくして、ガンガン計算をしていき、最後の最後に面倒なところは電卓などのテクノロジーに頼ればいいのが「数学」という世界なのです。

今から学び直しをしたい大人の人も、子どもを数学好きにしたいという人も、ぜひ、数字のその向こうにある物語に思いをはせてみてください。きっと新しい世界が見えてくるに違いありません。

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