反社会勢力への「闇営業」は法律的に何が問題か

5つのポイントに沿って弁護士が徹底解説

(2)暴排条例違反

反社会的勢力とは、暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人であるとされています(平成19年政府指針)。

そして各都道府県では、暴力団排除条例が定められています。暴力団排除条例は、暴力団排除活動に関し、基本理念、都道府県及び市民等の責務、暴力団排除活動を推進するための措置、暴力団排除活動に支障を及ぼすおそれのある行為に対する規制等を定め、もって市民の安全で平穏な生活を確保し、及び事業活動の健全な発展に寄与することを目的としています。

本件に関連する規制として、東京都の暴力団排除条例では、事業者が、事業を行うに際して、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなることの情を知って、規制対象者等に対して、利益供与を行うことを禁じています(24条3項)。

本件ではお笑い芸人が事業者として芸を披露した際に、特殊詐欺グループが暴力団によるものであったり、暴力団の運営にメリット(上納金の納付等)を与えていたりしたとして、それらのことを知っていたのであれば、この規制に反します。

この規制に反する場合には、公安委員会による勧告(27条)や事実等の公表(29条)がなされることがあります。

所属事務所の責任は?

(3)脱税

本件会合に参加し金銭を受け取ったとすると、その金銭はお笑い芸人にとって売り上げに当たります。事業者として売り上げを申告していなければ、いわゆる脱税に当たり、報道されている金額程度であれば刑事罰まで科される可能性は高くはないですが、無申告加算税等が課されるおそれがあります。

(4)その他損害賠償問題等

本件では、所属事務所や会合に参加したお笑い芸人がその取引先(テレビ局、CMの広告主、イベントのスポンサー等)から、契約解除や損害賠償請求をされるおそれがあります。

同様に、会合に参加したお笑い芸人は、所属事務所から契約解除や損害賠償請求をされるおそれがあります。

いわゆる闇営業を行ったということは、所属事務所とお笑い芸人の契約内容に関する内部問題です。業務委託契約書が締結されていないのではないかということも指摘されていますが、会合に出席して芸を披露し、その対価を得るということはまさに本業と抵触するものであるため、契約に反すると考えられる可能性が高いのではないでしょうか。

所属事務所は、コンプライアンス違反等の社会的責任を負います。株式会社であれば、株主との関係で責任が追及される可能性も否定できません。株主や損害を被った第三者から役員に対する責任追及がなされる可能性もあります。

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