ジョン・フラネリー GEコマーシャル・ファイナンス・アジア社長 兼最高経営責任者(CEO)
米ゼネラル・エレクトリック(GE)が三洋電機クレジットをTOB(株式公開買い付け)で買収すると発表した。高すぎる買い物との声が上がるが、フラネリー氏は強気一辺倒だった。(『週刊東洋経済』4月7日号より)
三洋クレジットは成長可能 リストラの必要はない
1:三洋電機クレジット(三クレ)に対する買い付け価格1株3250円は、過去1カ月の平均株価に対し58%のプレミアムがついています。株式市場では「高すぎるのでは」との声が上がっています(同時に入札した新生銀行などはGEの半分以下の価格を提示したと言われる)。
事務・IT機器などの小口リース・レンタルという三クレのビジネスモデルは当社が欧米で展開し、大成功しているものだ。日本にも進出したかった。今後はクロスセルや新商品の共同開発、当社のトリプルA格付けによる資金調達コストの低下など、相乗効果も期待できる。
一方で三クレの現在の株価は、本当の価値より少し下がっていると思う。三クレの株式は大株主3社で60%を占め、流通性が低い。また、親会社だった三洋電機のイメージが悪い影響を及ぼしているためだろう。
2:三クレの経営陣は刷新するのですか? また、社名変更の可能性はありますか?
役員変更は6月末の株主総会で行われる。特定の変更プランはないが、当社から数名の取締役を派遣する可能性がある。
現在の三クレの大島祥一社長が代わる可能性はノーだ。社名変更もまだ具体的に決まっていないが、ブランドネームの観点で今後、三クレ経営陣の皆様と話し合っていきたいと思う。
3:(一部金融資産の内容に課題があると言われるため)三クレはリストラの必要性があるのでは?
リストラなどせず、このまま伸ばしていきたい。3年後には、三クレのビジネススケールは大きくなっていると思う。三クレの従業員は減らすのではなく、むしろ拡充していく方向だ。
4:三クレと同様の法人金融事業を展開するGEキャピタルリーシングとのすみ分けは?
三クレは小口顧客が相手だが、GEキャピタルリーシングは中堅クラスから大企業の顧客に直接訪問営業し、やり取りする。リース物件も三クレは事務・IT機器だが、キャピタルリーシングは大型サーバーや工作機械、医療機器、建機など、もっと高額な商品を扱っている。
5:金融ビジネスにおける、GEの中長期的な成長戦略を教えてください。
日本市場は非常に大切で、たくさんのニッチマーケットがあり、当社のシェアはまだ伸びる余地があるだろう。今後3~4年後には、今より数倍大きくなっていたいと思っている。第一に内部成長。第二に、買収も機会が訪れたら継続的にやっていきたい。今後、日本では売り上げ、利益とも年率2ケタ成長を目指している。
(書き手:野村明弘 撮影:今井康一)
ジョン・フラネリー
1983年米フェアフィールド・ユニバーシティを卒業後、ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニアでMBA取得。GEキャピタルで未公開株式部門などを歴任。
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