「精神科医の禅僧」が教える続く疲れを減らす策 ランダムなものを見て心を落ち着かせる
タダでできる簡単な方法があります。それが良質な睡眠をとることです。睡眠は長さ、つまり量だけではなく、質も考えることが大切です。量が十分でも質が悪い場合があるからです。
シンプルに言うと、カーテンを開けたまま寝て、朝、自然光で目覚めるのが理想です。朝日とともに目覚め、日没とともに眠る。忙しい現代人のライフスタイルでは、なかなか難しいかもしれません。
朝の光が効果的なワケ
朝の光が効果的な理由は、睡眠ホルモン・メラトニンと関係があります。夜に増加するメラトニンは、網膜から入った朝の太陽光によって減少し、そして15時間後に再び分泌されますが、そのサイクルで生活するのが最善なのです。
朝の光を浴びていないと夜になってもなかなかメラトニンが分泌されず、眠くならないので、夜更かしをすることになります。そうすると朝起きるのが遅くなって、朝日を浴びられません。朝、光を浴びておかないと、その日の夜の眠りが悪くなります。その繰り返しが悪循環を招き、体調を崩す可能性があります。
さらに気をつけなければいけないのは、睡眠不足の蓄積、「睡眠負債」です。早起きしなくてもいい週末に、7~8時間で目が覚める人の睡眠負債はそれほど蓄積しないと思われます。一方、目覚まし時計がなければ十何時間も眠ってしまう人は、睡眠負債がかなり大きいといえます。
朝の光を浴びましょう、と言いましたが、朝の光を浴びているのに、睡眠のリズム障害が治らない場合は、夜の光刺激が強すぎるのも原因の1つだと考えられます。
都会都市部になればなるほど、DSPS(睡眠相後退症候群)が多いのは、都会の夜が明るすぎるからです。現在はスマホやコンビニが広く普及したため、地方在住の若い人たちにもDSPSが増えてきました。良質な睡眠をとりたかったら、ベッドでスマホをいじらないことです。
また、お昼ごはんを食べたあと、午後2時、3時くらいになると睡魔に襲われることはありませんか? 昼間に眠気が来たら、本来はムダな抵抗はしないで寝たほうがいいです。15~30分の「ショートナップ」は疲労回復に大きな効果があります。別名「パワーナップ」と言われ、海外の一流ビジネスパーソンが多く活用していることからも、その効果は信頼されています。
しかも夜の睡眠をよくしてくれるのです。会社の休み時間に積極的に仮眠していただくことをおすすめします。大手企業には仮眠室があるところもありますが、横になって眠ることはおすすめできません。本格的に寝ると睡眠深度が深くなりすぎ、起きてからボーッとしてしまうからです。席に座ったままで、うつらうつら程度の居眠りがいいのです。
昼の短い仮眠の有効性は実証されており、給食のあとに短い昼寝の時間を導入している小中学校や高校もあります。久留米大学の研究チームが15分の昼寝をした群としなかった群を1カ月半比べたところ、昼寝をした群のほうの学力が向上したという報告もあります。
机にうつ伏せで寝るわけですが、適度な深さの睡眠が疲労を解消するため、集中力が高まり、午後の勤怠が改善するのです。ちょっと寝ることの効果は、計り知れないということですね。
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