甲子園悲劇の投手・大野倫が故郷で励む野球教育 46歳になった沖縄水産のエースはNPOの代表

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「沖縄県でも、少年野球人口の減少は深刻です。伝統ある少年野球チームの中にも子どもが集まらなくて解散しているチームがあります。サッカー人気に押されている印象です」

沖縄県中体連の軟式野球部員は、2008年の5214人から、2018年には3431人に減っている。スポーツ少年団の学童野球も2008年の3115人から2493人に減少している。

NPO法人の活動風景(写真:NPO法人野球未来. Ryukyu提供)

「このままでは、野球をする環境は消えてしまう。だったら私が環境を作ろうと決意して、野球の楽しさを伝えるために、幼稚園や保育園で野球型レクリエーション、小学校では野球型授業を行っています。

小学校では授業1コマをいただいて、45分間でボールの握り方、投げ方などを教えています。どの授業でも、子どもたちは目を輝かせてボールを投げます。手応えを感じています」

授業は好評で、リピートも増えている。

このプロジェクトは、大野の持ち出しでスタートした。支援者やスポンサーはいるが、経済的な裏付けはまだ脆弱だ。

そこで、クラウドファンディングの「キャンプファイア」で「野球未来プロジェクト~日本で激減する少年野球プレーヤーを増やしたい」というタイトルで、支援を募っている(締切りは7月15日)。また各地で講演活動も行っている。

野球好きの子どもを増やしたい!

46歳になるが、大野倫は今も、引き締まった鋼のような体を持つ偉丈夫だ。もう30年近く昔の話だが、沖縄の人々は郷土のために、わが身を犠牲にして奮闘した高校球児、大野倫のことを忘れていない。

幼稚園や保育所で、ひざまずいて小さな子どもたちにボールの握り方を教える大野の姿に、胸がいっぱいになるお父さんもいるのだ。

全国で、未就学児、小学校低学年の野球普及の動きが起こっている。

「私は、沖縄地区の普及のリーダーになりたい。同じ志の皆さんと連携して、野球が大好きな子どもたちをどんどん増やしていきたいですね」

(文中一部敬称略)

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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