楽天流の改革で「ぐるなびの危機」を救えるか 今期は赤字転落、飲食店の解約が止まらない

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これまで手薄だった飲食店予約・来店に関するデータをうまく取り込めれば、楽天が育成している広告事業などに生かせる可能性もある。競争が激化するスマートフォン決済サービスにおいても、ぐるなびの営業網を活用すれば飲食店への「楽天ペイ」の導入提案を加速できるかもしれない。

モバイルシフトで立ち後れ

ぐるなびの目下の課題は、先に触れた販促支援の受注減だ。「集客することに必要な環境変化の把握だったり、モバイルシフトだったりが、一歩立ち後れたのがいちばんの問題」。杉原社長はぐるなび業績低迷の理由についてそう分析する。

杉原章郎新社長は楽天の創業メンバー。「楽天市場」などさまざまな事業の立ち上げに携わった(記者撮影)

そこでまず再建策として掲げるのが、ぐるなびを通じたネット予約数の拡大だ。宿泊予約などに比べ電話の比率が高い飲食店予約だが、直近ではネット予約のニーズが高まっている。

サイト運営側にとっても、送客数に応じ受け取る手数料で新しい収益源を確保できるメリットは大きい。競合の食べログやホットペッパーグルメ(運営:リクルートライフスタイル)でも、予約時のポイント付与や対象店舗の拡充をフックに、ユーザーを着々とネット予約に誘導している。

ぐるなびも2018年10月から、ネットでの予約時に楽天ポイントを付与する施策を展開。現在、約1億人に上る楽天ユーザーに訴求している。施策の認知が高まるにつれ、予約数は拡大。10月に前年同月比20%増、今年1月に同29%増、3月に同33%増と、効果も高まっているようだ。

楽天が筆頭株主になった後の6月からはポイント付与率を2倍、3倍にするキャンペーンも開始。「数年後にはネット予約ナンバーワンのプラットフォームとして確固たる地位を改めて、再び成長軌道に乗せていく」(杉原氏)。

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