LCCピーチ「他業界出身のCA」を生かす3ステップ 「看護師、旅館の女将」など多様な人材を採用
広報の担当に、過去の在籍者を含めて、Peachの客室乗務員の前職について伺ったことがあります。保育士、バーテンダー、新幹線パーサー、バイオリン奏者、看護師、旅館の女将……。実に多様です。もちろん他社で客室乗務員やグランドスタッフだった人も多くいますが、それにしてもこれほどの前職の幅の広さは、取材した他の企業ではなかなかありません。
そのあたりのことをPeachの井上慎一CEOに尋ねると、あえて航空・旅客分野と関係のない人たちを積極採用してきた意図があるようです。
実際、Peachの社員たちは、自分と異なる前職の持ち主から、いまの自分たちの仕事にプラスになるさまざまな経験を得てきたと言います。
例えば、看護師出身の客室乗務員が入社した際、他の客室乗務員たちは彼女から機内で発生する体調不良者への対応などを幅広く学び、みんなで共有したことがあったそうです。
もちろん、仕事の「軸」の部分、例えば客室乗務員なら接遇のやり方、営業担当なら営業のやり方といった部分は、本人が仕事のなかで経験を積んで強くしていくのが基本でしょう。
でも、「軸」ではないが、自分の仕事にプラスになる技、知識、考え方を、異業種から来た人に学んで得ていくことも、仕事の幅を広げ、深さを増すことにつながるのだと思います。
入社したての人にとっても、「前の会社では○○してたんですよね。教えてくれますか」と言われれば、頼られ感を抱けるもの。新たな職場でやっていける自信を得られると思います。
他の業界から来た人のアイデアを活かす仕組み
他の業界から来たばかりの人のアイデアは、どちらかというと軽く流されてしまいやすいものかもしれません。本人はまだ新たな仕事への自信もあまりないでしょうし、周りの社員たちも「あの人はまだこの業界を知らないから」と考えがちだからです。
けれども、まだ染まっていない人のアイデアを葬り去ってしまうのは、実にもったいない。長らくいる社員たちからは出てこないような発想が、染まっていない人からは、なかば自然に出てくるわけですから。
井上CEOも、「彼ら・彼女らは、私のような航空業界でずっと生きてきた者とは異なるアイデアや価値観をもっているはず。こうした人たちのバリューを活かさない手はありません」と述べています。
ここで特筆すべきは、実際Peachには、他の業界から来た人の発想をきちんと新サービスなどに具現化させていく仕組みをもっている点です。具体的には、「アイデアを出してもらう」「評価・採用する」「褒めたたえる」という3ステップです。
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