就活グローバル化で日本人学生はどうなる? パソナが外国人留学生向け合同企業説明会を開催

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会場入り口でパンフレットを見ている留学生に声をかけると、ネパールからの留学生。彼はすでにネパール内の大学を卒業、来日して日本語学校に2年通ってから、国内の大学へ入学した。日本では1年生だが、「ネパールでは大学を卒業しているので、日本の大学に在学中でも就職する機会があれば就職したい」という。パソナの「JOB博」には、通常の合同企業説明会と異なり、3年生以外や既卒者も出席している。

一方、海外展開を拡大したい企業にとって、留学生は非常に重宝な存在だ。母国語と日本語ができるし、両方の国の文化や習慣を知っている。採用したのはいいが、日本の習慣や日本企業になじめず退職してしまうリスクが低い。

最近は、日本企業が海外の大学生を直接採用するケースが増えているが、ある出展企業の担当者は、「海外から直接採用した社員は、2~3年で辞めてしまうことが多い。うちとしては長く勤務してもらって、海外と日本の橋渡しとして活躍してほしい。言葉だけでなく、日本と海外の両方の事情を知っている留学生を採用したい」とのこと。

2020年までに外国人留学生は倍増

日本学生支援機構による直近の調査によると、2012年5月時点で、日本国内にいる外国人留学生の数は13万7756人。日本政府は2020年までに外国人留学生の数を30万人まで増やす計画だ。

今後、日本へやってくる外国人留学生は増加するだろう。そして、2020年といえば東京五輪の年。東京五輪で日本の魅力が世界に周知されれば、2020年以降も留学生数はさらに増えるに違いない。

「JOB博」のようなイベントが増えることと留学生の増加によって、日本企業に就職する外国人は増加するだろう。就活は国籍を問わないグローバルな競争となっていく。

(撮影:今井康一)

 

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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