「飲食経験ゼロからCEO」48歳元SEの異色の経歴 大事なのは「世界に目をむける」ことだ
そして、いまもアメリカ本社との攻防戦、もとい濃密なコミュニケーションは続く。日本オリジナルメニューの考案や、ラグジュアリーな雰囲気のあるフードコート(=フードホール)への出店を図るなど、ハンバーガーを、ステーキやハンバーグのようにディナーとしても楽しんでほしいという想いをもって、日々進化を続けている。
世界を相手に夢中になれるものを探す
システムエンジニア、アパレル、そしてウマミバーガー……それぞれまったく違う業種ではあるが、海保さんの中には一貫した価値観がある。それは「世界に目を向ける」という点だ。
「海外のいいものを日本へ、という視点は昔から変わっていない気がしますね。それこそパソコンに夢中になっていたときも、海外の情報にはつねにアンテナを張っていたし、アパレルにしても飲食にしても世界を意識してしまう。自分がアメリカとか西海岸が好きっていうのもあるんでしょうけど」
そのなかで出合った、ウマミバーガー。2015年に西海岸で食べたときの衝撃は、海保さんを行動に駆り立てた。
「正直その頃、悩んでいたんです。ここ数年アクセサリー業界の伸び悩みがあって、シルバーアクセサリーだけではしんどいっていうのは、会社としても実感があった。
何か新しく日本の人を夢中にできるものを探していて、それが僕にとっては、L.A.で食べたウマミバーガーだった。あの日、僕のなかには挑戦へのメリットが見えたんです。それをきちんと計画に移して、実行しただけ……っていうとカッコよすぎますかね(笑)」
一見、人との出会いに身を任せ、気の赴くままに生きているようにも見える海保さんだが、その裏には惚れ込んだものへの強い自信と実行力がある。そして培ってきた経験は業界の垣根すらもするりと越えていった。
「いまの会社だけに通用するルールは、会社をやめてしまえば意味がない。だから、どこに行っても使える力を磨いておくことが必要かなとつねに意識しています。それはパソコンの知識にしてもコミュニケーション能力にしても、熱意にしても……。普遍的でかつ人よりも得意な何かを身に付ける。あとは自分が惚れたものを信じることですね」
自分が夢中になったものを、まっすぐ信じ抜く力。海保さんは熱く、そして冷静な目で今日もアメリカン・カルチャーに目を光らせている。
(取材・文/藤野ゆり(清談社)、撮影/小島マサヒロ)
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