「自殺した家族の葬儀」で直面する2つの苦労 日本では「毎年2万人以上」が自殺している
日本では毎年2万人以上が自殺しています。あまり考えたくないことですが、もし自分の家族が自殺してしまったら、どう弔えばいいのでしょうか?
自殺の場合、病死や老衰死とは別の負担が生じます。例えば病死であれば、入院先の医師が死亡を確認した後、遺族は遺体をすぐに引き取ることができます。一方、自殺だと、遺体を引き取るにも時間がかかります。
なぜ遺体をすぐに引き取れないのか?
というのも自殺者の遺体は、まず警察が死因を調べる必要があるからです。事件性がないか、つまり自殺に見せかけた他殺ではないかチェックするわけです。場合によっては専門の医師の解剖を要するため、遺体が返ってくるまでに数日かかることもあります。
残念ながら、警察の遺体管理状態は決していいとは言えません。解剖の可能性を考慮して、遺体を強く冷して保存できないためです。遺族が引き取るまでに時間がかかってしまったがために、遺体の状態が悪化する可能性もあります。
故人が遺族の元に戻ってきたら、次は葬儀社と打合わせをしなければいけません。その際、もし可能であるなら、家族以外の信頼できる誰かに同席してもらったほうがいいでしょう。
遺族の気持ちを推し量ると、彼ら彼女らは大きな心労から打ち合わせの場でも激しく取り乱してしまうもの……と思われるかもしれません。ですが、私のこれまでの経験を振り返ると、実際はそんなことはなく、極めて冷静な態度を取る遺族が多いのです。
こうした遺族には2つのパターンがあります。1つは、故人がうつ病などで過去に何度か自殺未遂を繰り返しており、遺族側に心の準備ができている場合。もう1つは、自殺という不条理な状況に対する怒りが外にではなく、手を差し伸べることができなかった自分自身に向かっている場合です。
前者の場合、心の準備ができているわけですから、葬儀の打合わせは滞りなく行えることが多いです。しかし、後者の場合は一見、葬儀社と普通に会話をしているように見えるのですが、後で何を話したのかまったく覚えていないということが多いのです。後者のような状況に直面したら、葬儀の打ち合わせには冷静でいることができ、かつ信用できる知り合いに同席してもらうことが理想的です。
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