「自殺した家族の葬儀」で直面する2つの苦労

日本では「毎年2万人以上」が自殺している

葬儀社との打合わせが始まると、遺族はすぐに厳しい判断を迫られます。「故人の葬儀をどう行うか」という問題です。これは言い換えるなら、「自殺であることを隠しきれるか」という問題とも言えます。

「自殺を恥」と考える日本人は多い

残念なことに、日本には自殺を「恥」だと考える人はまだ多いようです。自殺者を弱いやつ、もしくは人生の敗北者とみなす考え方です。たとえ、まわりがそうは思わなくても、遺族が故人の死因が自殺であったことを隠したがる場合もあります。

故人が人との付き合いの少ない高齢者であれば、誰も呼ばずに葬儀を済ませても違和感はないでしょう。しかし、故人が若者であることは珍しくありません(実際、10代の自殺者数は増加しています)。この場合、周囲に隠し通して葬儀を行うことはかなり難しいです。

急死したにもかかわらず、故人の友人、知人を呼ばず葬儀を行えば、いろんな臆測を呼んでしまいます。とはいえ、変わり果てた姿の故人と面会させるわけにもいきません。かつて、こうした状況は遺族と葬儀社にとって大変悩ましい問題でした。

しかし、ここ15年程前から状況は少しずつ改善しています。「エンバーミング」という、遺体衛生保全技術が日本の葬儀業界にも導入されたからです。

これはもともと、アメリカの南北戦争で亡くなった兵士を故郷に送り返すために発達した技術と言われています。体内に薬液を入れて腐敗の進行を止めたり、傷ついた骨格を修復したり、特殊なファンデーションで皮膚を自然な色にしたりすることができる技術です。

日本人の自殺の手段の約7割を占める「縊死(いし:首吊りのこと)」を例に、その処置方法について解説します。

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