「自殺した家族の葬儀」で直面する2つの苦労 日本では「毎年2万人以上」が自殺している

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生々しい話で恐縮ですが、縊死の遺体は首に縄の跡がしっかりと残り、顔が変色していることもあります。この場合、薬液を血液に注入した後、首の皮膚を伸ばしてくぼみをできるだけ浅くします。そして特殊なパテでさらにそのくぼみを埋めて、周りの皮膚と一体化させます。

その後、生前に撮られた写真を基に、専用のファンデーションで皮膚の色を生前に近い状態に戻していきます。ここまでくれば、縊死の痕跡をかなり消すことができます。こうした処置を経たうえで、死因を急性心不全などの病名にして、葬儀を執り行うわけです。

遺族の負担を軽くする

また、エンバーミングによる自殺遺体の修復は、死因を隠すという機能以外にも、遺族の心理的ストレスを軽くするという効果もあります。変わり果てた遺体を見て、遺族は助けることのできなかった自分を責め続けます。そこで少しでも故人を生前の元気な頃の姿に近づけることで、遺族は最後に故人に何かをしてあげることができたという気持ちになれるわけです。

ポイント2:エンバーミング技術を持つ葬儀社を選ぶ

エンバーミングの費用は15万円前後ですが、問題はごく一部の葬儀社しかこの技術を持っていないということです。衛生面に配慮した専用の設備と、2年間の学習期間を経て試験に合格した資格保有者を持つ葬儀社でなければ行えません。そのためエンバーミングが施されるのは、日本の死亡人口の2~3%程度です。

万一のときのために、このエンバーミングの技術を持っている葬儀社を選ぶという選択肢があることを知っておくといいでしょう。

赤城 啓昭 葬儀屋さんブロガー

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あかぎ ひろあき / Hiroaki Akagi

葬儀社に20年以上勤務し、業界内部を知り尽くしたその道のプロ。業務内容はお葬式の担当と葬儀・葬儀業界の分析。Twitterアカウントは@kangaerusougiya。「ライブドアブログOF THE YEAR 2015」にも選ばれ、月間45万PVを突破した「考える葬儀屋さんのブログ」も日々更新中。

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