増税を控えてすでに消費マインドは冷えている 「老後2000万円」問題もタイミング悪く

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「消費者態度指数」を構成する4つの「消費者意識指標」の内訳について、14年4月の消費税率引き上げ時と比較すると、今回のケースでは今後半年間の雇用環境の見通しを示す「雇用環境」の落ち方が大きい。

足元では完全失業率はほぼ横ばいの推移となっており、雇用環境が明確に悪化しているとは言えない。しかし、消費者意識指標の「雇用環境」は今後半年間の雇用環境の見通しを調査したものであり、完全失業率に対して一定の先行性があるため、完全失業率や有効求人倍率などのハードデータが今後悪化してくる可能性もある。人手不足問題によって労働市場はタイトであるという認識が広がる中、雇用環境が消費マインドの悪化につながるというパスにも注意が必要である。

「老後2000万円」問題も引きずる

消費マインドの悪化が懸念される中、「老後に2000万円の蓄えが必要だ」と試算した金融庁報告書が話題となっている(いわゆる「老後2000万円」問題)。

菅官房長官は「厚労省から家計調査の平均値として、高齢者世帯の収支差額が5万5000円(のマイナス)との説明があったのは事実」としつつ「報告書に盛り込まれた、30年で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要との文言は、審議会のワーキング・グループ独自の意見」と述べ、政府の公式見解であることを否定した。

また、あくまでも2000万円という数字は平均値であり、すべての家計が2000万円必要というわけではないし、このような議論自体が新しいものではない。とはいえ、一連の騒動が家計の不安を増幅させた可能性が高い。消費者態度指数等への影響が懸念される。

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