「金融リテラシー」は水準も格差拡大も問題だ 老後資金を増やすにも金融リテラシーは必要

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金融リテラシーが低いと金融取引でだまされるおそれもある(イラスト:こけ田 / PIXTA)

金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)は7月3日に「金融リテラシー調査 2019年」の結果を公表した。同調査は2016年調査に続く2回目の調査で、18~79歳の全国の男女2万5000人を対象に、お金に関する意識や知識を聞くもの。今回の調査期間は2019年3月1日~20日で、インターネット・モニター調査である。

6月以降に話題となった、いわゆる「老後資金2000万円問題」の影響は含まれていないが、足元では金融リテラシーの重要性が一段と注目されており、今回の調査結果を複数のメディアが取り上げた。

朝日新聞は7月4日付で老後資金の問題に注目して、以下のように取り上げた。

「『今後必要と意識している費用は何か』の回答は、定年退職後の生活費が60%と最も高く、教育費26%、住宅購入費14%と続いた」

「退職後の生活費が必要と意識する人のうち、必要額まで『認識している』と答えたのは、年代別でみると50代は51%だった。一方で、資金計画を『たてている』人は35%にとどまり、資金を『確保できている』人は26%。中高年層が老後のお金の不安に十分備えられない姿が浮かんだ」

欧米先進国より正答率の低さ目立つ

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「金融リテラシー調査」の最大の特徴は、さまざまな設問によって回答者の金融リテラシーを直接測っている点である。そのため、インプリケーションは多い。

日本銀行は金融庁が示した「生活スキルとして最低限身に付けるべき金融リテラシー」を基に、項目別、年齢別に必要なスタンダードをまとめた「金融リテラシー・マップ」を作成している。「金融リテラシー調査」の設問はこの「金融リテラシー・マップ」に基づいて決められている。設問の約半数は、米国FINRA(金融業界監督機構)やOECD/INFE など海外機関による同種調査との比較が可能となっている。

具体的な分野別の正答率(設問は25問)は「全体で56.6%と前回(55.6%)を1.0%ポイント上回った。分野別にみても、すべての分野において前回調査を上回った」(金融広報中央委員会)。

正答率を年齢階層別にみると、「年齢層が高いほど正答率は高くなる傾向」(同)があるという。18~29歳が42.7%なのに対して70代は64.8%となっている。職業別では「学生の正答率は相対的に低い一方、教員、公務員(除く教員)の正答率は高い」(同)という。ちなみに学生が42.6%なのに対して会社員は57.4%、公務員と教員はいずれも65.1%であった。

海外との共通問題の正答率の比較ではどうか。米国FINRAの調査結果(共通問題6 問)と比較すると、米国が53%で日本は47%と、日本のほうが6%ポイント低い。また、OECD/INFEの調査(共通問題5 問)を用いた英・独・仏との比較では、日本の60%に対して、英国が63%、ドイツが67%、フランスが72%と、日本の正答率の低さが目立った。

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