菅義偉官房長官は「経済に影響を及ぼさないように十分な対策を講じる」と説明し、政府は①~④のプラス材料によって影響が限定されるとの見方を示している。しかし、それを決めるのは家計である。家計のマインドを示す代表的な指数である消費者態度指数は2014年4月の増税時よりも速いペースで低下している。仮に消費税率を引き上げれば、当面はマイナス面の影響が大きく出るだろう。
消費マインドを示す代表的な指数である消費者態度指数の5月分は39.4と、8ヵ月連続で低下した。消費税率引き上げ前に消費者態度指数が低下し始めるパターンは過去3回の引き上げ時(①1989年4月、②1997年4月、③2014年4月)すべてで確認されている。
消費への影響は最長で7年弱、最短で半年
①1989年4月と②1997年4月の局面では調査が四半期に1度だったことから、現在の月次調査の結果と直接比較することはできないが、増税開始前の1年間の消費者態度指数の変化を確認すると、①89年4月は1年前の88年6月調査から89年6月調査までで2.2pt低下した。②1997年4月の消費税率引き上げ時(3%⇒5%)には1年前の96年6月調査から7年6月調査までで4.2pt低下した。③2014年4月の消費税率引き上げ時(5%⇒8%)は1年前の13年4月調査から14年4月調査までに7.4pt低下した。
今回は、1年前の2018年10月調査から足元(19年5月調査)までに、3.5pt低下している。むろん、消費者態度指数は消費税率引き上げの影響だけで変動するものではないが、過去の消費税率引き上げ局面と同様に同指数が下落していることは事実である。
なお、消費税率引き上げ後に1年前の水準を回復するまでにかかった期間は、①1989年4月の消費税導入時は6ヵ月、②1997年4月の消費税率引き上げ時は6年11ヵ月、③2014年4月の消費税率引き上げ時は3年7ヵ月となった。消費マインドの回復までは、最長で7年弱、最短でも半年はかかる可能性がある。
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