東洋経済オンラインでは、5月30日に『この5年で「給与も従業員数も増えた」トップ500社』ランキングを発表した。今回は、その逆の「5年間で年収も従業員数も減らした100社」を発表しよう。
近年、景気は改善傾向だったこともあって、調査対象社数の2761社に対して、5万円以上平均年収が下がり、5人以上従業員数も減らしたという今回の基準に該当する企業は128社にとどまった。
ランキングは2013年2月期から2014年1月期と、2018年2月期から2019年1月期の有価証券報告書の従業員数の注記に記載されている値を用いて、この5年間の平均年収と従業員数の変化を比較した。年収を減らした金額が多い企業から順に順位づけを行っている。
有価証券報告書の従業員数の注記には単体ベースの平均年収のみが記載されているため、すべての項目の基準を合わせるために、単体の値で調査した。ホールディングス制へ移行したことで従業員数を大きく減らし、年収が大幅に増えたケースがある。
このようにホールディングス制へ移行した企業は、年収・従業員数ともにブレが大きいため調査対象外とした。
この5年では減少幅はやや縮小
昨年同時期に配信したランキングとは異なり、ランクインした100社のうち、この5年間では平均年収が100万円以上減少した企業はゼロとなり、従業員数を2000人以上減らした企業も該当しなかった。
1位はプラント大手の千代田化工建設。直近の平均年収は829万円とやや高い水準にあるものの、5年前と比べて94万円の減少となった。5年前と比べ従業員数は24人減り、平均年齢は40.9歳だった。
そして、千代田化工建設は今2019年3月期に大幅最終赤字を計上し、債務超過に陥った。三菱商事らが経営再建を支援することとなり、今後の同社の動向にも注目が集まっている。
2位は、SDエンターテイメントがランクイン。フィットネス、カフェ、オンラインクレーンゲームや不動産賃貸事業を手がける企業だ。平均年収は5年前比で93万円減少し333万円になった。従業員数も21人減少し215人だった。2018年12月には同社よりゲーム、ボウリング、シネマの3事業を承継し新設分割会社スガイディノスを設立している。
従業員数に着目すると、この100社ランキングで最も減少させていたのは横河電機だった。5年間で1708人の従業員数を減少させ、2590人となった。平均年収は18万円の減少で872万円、平均年齢は44.9歳だった。横河電機が従業員数を大きく減らした要因には、2014年に本体のソリューションサービス部門を、子会社に承継したことなどがある。
業界問わず人手不足は深刻化しており、2019年10月には消費増税も予定されている。人材確保のために賃上げを行う企業もあるなかで、政府の賃上げ要請にも応える形で再び賃上げに転じることはできるだろうか。
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