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47歳「斬新な日本酒」を造り込む男の痛快な仕事 岩手の老舗酒造5代目はここまで徹底する

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  • 村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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「ただ、新しい商品を出したからといって、そうそう売れるわけではありませんでした」

喜久盛酒造には「喜久盛」というメインブランドがあり、地元では普通に売れていた。ただ、売上は徐々に下がっていたので危機感はあった。

東日本大震災があり、地元の酒屋、飲み屋などに大きなダメージがあった。新たな売り先を見つけなければならなくなった。

「出張で東京に行ったとき、ノイズバンド『非常階段』のイベントに足を運びました」

『酒とノイズ』という一風変わったイベントだった。非常階段のメンバーの美川俊治さんは、日本酒がとても好きな人であり「美川さんが選んだ日本酒を飲みながらノイズを聞こう」という趣旨のイベントだった。喜久盛酒造はそのイベントに枡などを提供していた。

イベントの打ち上げに参加すると、美川さんの日本酒の師匠だという、とある飲食店の店主が遊びに来ていた。藤村さんは造り酒屋として話をすると、

「売り先に困っているなら、俺が酒屋を紹介するから一緒に行こう」

と誘われた。

「『タクシードライバー』を持って、一緒に都内の酒屋さんに連れて行ってもらいました。営業という感覚はもちろんありましたが、それ以上に東京都内の酒屋でどのような評価がされるのか?というのが知りたかったですね」

「タクシードライバー」の生産量は当時の15倍以上に

先入観を持たれないように、タクシードライバーの瓶に新聞紙を巻き、試飲してもらった。

酒屋の店主から、

「岩手でこういうタイプの酒は珍しいですよね。ぜひ扱わせてください」

と頼まれた。

「それまではタクシードライバーはタンク1本(1升瓶800本程度)がはけるのに1年くらいかかっていました。しかしその酒販店に入れたところ、3カ月ではけました。その後生産量を3倍にしましたが、1年以内に売り切れました。とても影響力のある酒屋さんで、

『あそこが取り扱うなら品質に問題はないだろう』

と、周りの酒屋さんも追随してくれたみたいです」

タクシードライバーはそれ以降軌道に乗り、生産量は当初の15倍以上になった。藤村さんは、その後も新しい企画、斬新なパッケージデザインの商品を販売している。

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【徳島県にある酒蔵ともコラボ】

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