機内挨拶を大阪弁にしたら「おもろいんちゃう」 「それいい!」、Peachのアイデア出し3つの秘訣

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アイデア出しの秘訣③
あえてコストをかけないという条件で考える

そして3つめが「コストをかけないという条件で企画を考える」というものです。

これは、それなりのコストをかけた企画を立てることが当然のようになっている中で、それだけ独自性を持った企画になる可能性がありそうです。しかも、コストをかけないのだから、うまくいったときの費用対効果はとても大きなものになるし、うまくいかなかったとしても損失は少なくて済むという利点もあります。

Peachは、初就航前、客室乗務員を募集しようとしていました。けれども、募集にかけられる費用はわずかで、広告をいくつか出すだけで、予算は底をついてしまう状況でした。

けれども、ここで井上CEOや社員たちは「その少ない予算でなにができるか」と考え始めました。そして、暑い夏だったので「うちわをつくって配ったらどうか」というアイデアが出て、これを実際に行ったのです。井上さんも自ら大阪の街に出て、街ゆく人びとに「客室乗務員募集中です」と呼びかけました。

航空企業が街なかでうちわを配って客室乗務員を募集しているというのは、やはりそれまでに「ない」ことです。マスメディア各社が興味を示して、これをニュースなどにとりあげ、大きな話題になりました。これで、約100人を採用する予定だったところ、4000人が応募してきたとのこと。「少ない予算でなにができるか」から思いついた作戦は大成功したわけです。

この話には苦肉の策が奏功したという要素も多分にあったようではあります。けれども、これ以来「コストをかけないという条件で考える」ことが、企画出しには重要であるということを社員たちは強く認識し、積極的に実践するようになったといいます。確かに、冒頭でお話しした、客室乗務員の「ほんま、おおきに!」という挨拶も、「声に出すだけ」という何のコストもかけないでできてしまうアイデアでしたね。

それなりの予算が確保されている中で仕事をしている人は、「コストをかけない企画」を立てることについて、上司や同僚から「なんで?」と疑問視されて、むしろやりづらい点もあるかもしれません。しかし、それでためらうのはもったいない。そうした条件で独自性の高い企画を出してから、「実はお金もぜんぜんかかりません」と加えれば、上司からも「何で?」でなく「ほほぅ!」と見られるのではないでしょうか。

「おもろい」アイデア出しを今日から始めよう!

明らかに、Peachの社員たちは、こうしたアイデア出しを、明るく、楽しみながら、ポジティブにやっていました。とくに、1人でできる方法を社員みんなが実践している点が印象的でした。

ここで挙げたいずれの方法も、少なくとも発想段階ではお金のかからないもの。あなたのアイデア出しの機会に向けて、もし、取り入れていない方法や気に入った方法があれば意識的に試してみて、効果のほどを実感してみてはいかがでしょうか。

漆原 次郎 フリーランス記者

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うるしはら じろう / Jiro Urushihara

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、科学技術関連の記事を寄稿。また、エアライン企業をはじめとするさまざまな企業の風土や働き方などを取材し、記事や書籍を通じて伝えている。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム修了。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社刊)など。

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