徳永有美が専業主婦を経て報ステで得た居場所 「いろんな意味で毎日限界点と戦っています」

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河崎:そしてまた朝5時半のお弁当、と。睡眠不足で疲労が取れないと、頭が働かなくなりますよね。帯番組は体を慣らすこと自体に時間がかかりそうです。

徳永:若い頃は、とにかくたくさんの人たちとコミュニケーションをとっていました。私はアナウンサーとして優秀なタイプの人間ではないと思っているので、そこを補うのはスタッフとの関わり、スタッフの思いや考えの共有だと。それが自分のアプローチ法だと思ってきました。

しかし去年の10月以降、夜の番組に向けてのタイムスケジュールがそれまでの自分の生活スタイルとなかなか合致せず、体力的にかなりしんどくて。スケジュールになじむまで、時間がかかりました。慣れてくると欲が出て、もう少したくさんの人と幅広く話をしたい、勉強する時間も欲しい、するとまた無理をしてしまって微妙な体調の変化が起こる。この半年間は、その繰り返しでした。

「ごめん!こんなお母さんだけど、一生懸命やるから!」

河崎:夜中にピークを持ってくる仕事、でも家庭人であるという点で、お子さんとご自身のタイムテーブルの調整も大変だったのではありませんか。

徳永:自分のことはどうにかなるんです。でも対・子どもでは想像以上に大変な部分がありました。小学4年生の娘と幼稚園年長の息子がいます。子どもたちには「こういう仕事をするから日中の生活に変化があるよ」とは事前に説明していたのですが、上の娘はさすがに「ここまで会えないとは」という気持ちがあったように思います。

でもそれに対してごめんねと謝るよりは「私も毎日頑張るので、あなたも頑張ってほしい。その代わり金土日を楽しもう」と伝えて、なんとかそのバランスの中でやっているつもりです。

申し訳なさを感じたり開き直ったり、その繰り返しの中で、今では「完全に割り切れるものではない」と。子どもたちと精一杯向き合っていくしか道がないなと感じています。なので、娘には「私がいないときはしっかりしてね」と伝えています。

河崎:「こうやってやっていくんだ」と、親子で引き受けていくのですよね。専業主婦などでしっかり子育てしていた人が仕事を始めるとき、まず罪悪感を口にする人が多いそうです。これまできちんとしてたことがおろそかになるのではないかと恐れたり、何かあると自分のせいじゃないかと自分を責めてしまったり。

完璧を目指さず、完璧なフリもしないと復帰する時から決めていたという(撮影:山内信也)

徳永:すごくわかります……。それでいうと、私はそもそも完璧を目指しません(苦笑)。完璧なフリもしないとAbemaTVに復帰する時から決めていました。そこは正直にしていこうと。なので、子どもに対しての罪悪感がないと言えばウソになります。でもその罪悪感も多少は大事なものだとは思っています。

だから私は、何かあるとすぐ謝っています(笑)。「ごめんね!」と。「こんなお母さんでごめん!一所懸命やるから、あなたも漢字テスト満点目指して頑張って!」と。私自身は母が専業主婦で、ずっと一緒にいる環境で育ってきたので、そうやって娘を育ててあげることができない申し訳なさもあります。

河崎:徳永有美さんを母に持っているということだけでも、お子さんたちにはものすごく大きな宝物なのでは?

徳永:いえいえ、私、いつも抜けていて忘れ物ばかりしていますから! 娘は、ママの分まで私がしっかりしなきゃって言ってます(笑)。

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