しかしこのメンブレン、膜とはいえ厚さは2ミリもある。「2ミリもあるなんて、厚いと思うでしょう」。はい、今、まさにそう思っていました。「でも、コンクリートとか断熱材とか、壁の厚さは2.8メートルもあるから、メンブレンはゆでたまごで言えば、薄い膜くらいの存在なんですよ」。
なるほど。悔しいくらい分かりやすい説明だ。そう小さく相づちを打つボクの目は、あるものに釘付けになっていた。模型である。この扇島工場の1000分の1の模型が飾られているのである。実によくできている。
「これ、私が作ったんですよ」と田口さん。手のひらに最新作を載せていた。25キロリットルタンクのふた部分。真鍮製だという。
ボクはココに提言する。東京ガスは、田口さんことLNGPARK館長・田口国次郎さんをもっともっと活用すべきだ。平均年齢40オーバーの取材者を前に、小学生に接するような情熱を持って実に分かりやすく説明できる類い希なる人材が、ちょっとお堅いイメージのある東京ガスにいるなんて、嬉しいサプライズではないですか。
地上型も悪くないかも
そして、多くの人に言いたい。東京ガス扇島工場を見学できるチャンスがあればそれを逃すことなく足を運び、田口さんの名調子に酔いしれないと損をする。子どもたちにとっても、田口さんの説明を聞く10分間は、教室でエネルギーの大切さを学ぶ何時間かの授業を上回る体験となるはずだ。
それにしてもなぜ、かつては地上にあったタンクを地下に埋めるのか。その答えは「景観への配慮」だそうだ。横浜市との協議の結果という。ふたの上の緑化もそのためだ。
コストだけ考えると、地上に丸いタンクを設置した方がいいらしい。実際に、東京ガス第4のLNG工場となる日立LNG基地(建設中)では、地上に円柱形のタンクが並ぶ。ここに従来型のまん丸いの4つが並んでいる姿を想像してみる。首都圏におけるエネルギー消費の膨大さを可視化できるわけだから、それも悪くないと思う。
(構成:片瀬京子、撮影:今井康一)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら