タレントのオスマン・サンコン氏の視力が6.0と聞いたときには驚いたが、視力6000となると、人間の想像力をはるかに超える。大阪に置いた1円玉を東京から見分けられるほどの視力なのだという。そんな驚異的な視力を持つ世界最大の望遠鏡が、南米チリの標高5000メートルのアタカマ砂漠に建設されている。その名はALMA望遠鏡という。ALMAは略称であって、正式にはアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/
直径18.5キロの望遠鏡
電波望遠鏡のいいところは、周りが明るすぎようが暗すぎようが、そこから電波が発せられていれば何かあると気がつけるところだ。ALMAは直径18.5キロメートルというほぼ山手線サイズのエリアで66台を繋ぎ合わせることで、1台の超巨大なパラボラアンテナとして使われることになる。
これにより、光学望遠鏡では見えない星や銀河の生死の兆候などを観測できる。さらには、地球外生命を発見したり、生命の起源に迫ったりできるのではと、期待は大きい。unprecedentedつまり空前絶後と形容される所以である。
しかし、予算は空前絶後ではない。ALMAの建設のため、日本が負担した金額はたったの300億円である。国民1人当たり、わずか30円。これは、体操の内村航平選手の好物として知られる有楽製菓のチョコレート「ブラックサンダー」の価格と等しい。引き替えに得られるものの大きさを考えれば、安いものだ。
格安で済んでいるのは、ALMAは世界20の国と地域が参加する地球規模の共同プロジェクトだからでもある。もちろん日本も参加していて、アンテナ66台中、16台は日本が担当した。
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