地元の若手エリートが集う「青年会議所」の正体 政治家や経営者などを続々と輩出

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また、他団体や行政との共催事業の有無やOB会から資金補助など、外部団体との組み方で予算規模も変わる。JCの事業は、一般参加者は無料のことが多いため、誰と組んで、何をするかはつねに青年会議所にとっての課題となる。地域のJCでは予算に限りがあるため、事業費用は限られるが、外部団体との連携で1000人規模のイベントを実施することもある。

JCがほかの経済団体と違うところは何だろうか。通常、団体に所属する際は、法人として会員になっていることが多いが、JCは個人として加入することとなる。会費も活動費もすべて自腹で負担する団体である。自社の発展だけでなく、参加する会員による地域貢献、青少年への貢献を目的としている。

いわゆる「エリート」だけではない多様さ

JC自体や会員は社会的な課題に対する感度が高く、自治体や官庁をはじめとしていろいろな団体とコラボレーションしている。直近では外務省とSDGs(国連で採択された持続的な開発目標)に関するタイアップ宣言に署名し、中小企業や自治体におけるSDGs推進を進めている。

JCを卒業すると、元JCと名乗ることなく、地域のロータリークラブやライオンズクラブに所属する人も多いだろうし、中小企業団体などに参加する人もいる。地域活動に熱心で、仲良くなったらJCの先輩であったということも当然ある。全国組織のため、事業展開でのタイアップも可能なネットワークが目に見えずとも存在しているようだ。

筆者自身もJC卒業生や現役の会員と仕事をする機会が増えてきた。JC経験者に共通するのは途中で投げ出したりしないことだと個人的には感じている。

また、例えば中小事業者に対するIT関連の補助金など、政策的な補助金の話を関係者を通じて概要を知ることができるなど、今の時代に必要なリアルなネットワークと情報の鮮度は、JCならではといえるだろう。噂レベルでなく、情報元が特定できる情報の信頼性があるのは、JCが中小企業経営者団体として政府から認知されているからではないだろうか。

ここまで書くと、JCは地元の名士やお金持ち、人脈のある人などが集っているように見えるかもしれないが、筆者からすると、JCは異業種の集まりで、さまざまなバックグラウンドを持つ人の集まりでもある。例えば、中卒、高卒は当たり前。若いころは地元で迷惑をかけたが、今や中小企業を立ち上げて経営しているというような人間はたくさんいる。

筆者自身は、JCに参加した期間はわずか3年だったが、貴重な体験をすることができたことは間違いない。参加してよかった点は3つある。

1つ目は青少年事業に対して行政サイドと連携して事業が実施できる点だ。JCの主な事業の1つである小学生向けの事業は、地域の教育委員会の後援を受けていることが多い。筆者が個人的に子ども向けの事業を企画実施しても、教育委員会の後援を受けるには至らないだろう。しかし、教育委員会に「JCです」とあいさつに行けば快く迎えてもらえる土壌がすでに出来上がっている。

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