地方の銀行マンに降りかかっている6つの難題

地銀めぐる経営環境はかつてないほど厳しい

① 本業である「貸し出し業務」の長期的な低迷

地方銀行本来の業務は、預金を集めて企業に融資して利ザヤを稼ぐこと。ところが、長期的な超低金利政策の影響で、貸出金利息の減少が預金利息の減少を上回っており、資金利益(利ザヤ)の減少が続いている。

地方銀行の場合、銀行全体の利益を示す業務粗利益に占める資金利益の割合は、都市銀行の64%(2016年)に対して85%(同)もあり、金利低下の影響を受けやすいと言われている。超低金利の長期化や企業など、資金需要の伸び悩みが影響しているといっていいだろう。アベノミクスが地銀を直撃しているということだ。

② 資金運用ノウハウの不足は人材育成の失敗?

地方銀行は、リーマンショック後の決算でも実は堅調な利益を上げてきた。実際に、2015年には最終利益が過去最高を示している。しかし、こうした純利益の好調さの背景には、リーマンショックで経営破綻した企業の後始末などの経費による収入が増えたこと、そして国債や株式など有価証券の売却益の増加が大きな要因と言われる。

地方銀行は金利低下の影響を受けやすいこともあって、本業である貸し出し業務が振るわない一方で、メガバンクのような海外債券や株式に積極的に投資して利益を上げるといった資産運用はあまり得意ではない。

近年、 それまで資産運用のメインとなっていた日本国債の保有が減少する一方で、外国債券や投資信託といったリスクの高い商品が運用商品として活用されるようになってきた。異次元緩和導入後、国債の買い入れが大きく減少し、いまや地銀の有価証券構成比率の1割超が株式となり、その他有価証券(リスク証券)も2割超(2018年3月期)に達している。

問題なのは、地方銀行の多くがこうした資産運用のノウハウを独自に持ち合わせていないことだ。資産運用ができる人材を育成してこなかったことも、後れを取っている大きな要因の1つと言われる

地方銀行の保有資産に占める貸出金の割合は6~7割に達しており、資産運用の必要性はメガバンクなどに比べると少ないものの、本業の貸し出し業務が衰退する中で資産運用のノウハウ取得が求められているわけだ。

マイナス金利政策の長期化は、地方銀行の稼ぐ力を急速に衰えさせている。海外の有価証券への投資などがうまくいかない分、不動産ローンやアパートローンにシフトして融資枠を拡大する方向に突き進む地銀も増えている。それに突っ走った結果を象徴しているのがスルガ銀行の不祥事といえる。

③ 過剰な出資規制が地方の銀行と経済を衰退に導く?

地方銀行の役割とは、メガバンクではカバーできない中小企業を含めた企業への資金供給や新しい産業の育成、新規ビジネス立ち上げの援助などなど……、その地域の特性に合わせたきめ細かな金融サービスの提供と言っていい。

ところが、人口減少や高齢化なども加わって、近年地方経済の縮小が著しい。その背景には地方銀行が、きちんと地方の産業育成に寄与しているのかどうか。地方創生の役割を担うのが地方銀行の役割と言っていいだろう。

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