6月8~9日に、福岡市でG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催される。議題の1つになるのがデジタル課税である。今年は、日本がG20の議長国。福岡会合は、2016年以降続けられてきたデジタル課税に関する議論の1つの節目となろう。2020年の最終合意を目指している。
「GAFAに課税せよ!広がる『デジタル税』の正体」で触れたように、デジタル課税の議論は、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめとする巨大ネット企業が、法人税を適正に払っていないという疑念に端を発した。しかし、目下の議論は巨大ネット企業だけに限った話ではなくなっている。
横行する法人税の課税逃れ
専門用語を使わずに、デジタル課税の話が今どうなっているかを説明すれば、次のようになる。
法人税は、企業が利益を上げた所で課税するものである。しかし、利益が上がっていそうな所で法人税を払わずに済む「課税逃れ」が国際的に横行した。とくに、特許や商標、データなど合法的に独占できるものを使って利益を上げるデジタルビジネスで課税逃れが横行した。それでは、伝統的なビジネスをする企業(まじめに法人税を払う企業)との間で不公平が生じる。
そこで、デジタルビジネスでも顧客相手に利益を上げているのだから、顧客がいる所で課税、すなわち「デジタル課税」を導入してはどうか。しかし、そもそも法人税の話だったのに、顧客がいる所で課税するというのは「消費税」ではないか。そんな議論が行われている。
このような展開の中で、デジタル課税の3つの焦点が見えてくる。1つは、特許権や商標権、データなどの無形資産を用いて、国境を越えて収益を巨額に生み出していることだ。
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