6月のG20、デジタル課税の何が焦点になるか

巨大ネット企業「狙い打ち課税」ではない

伝統的な法人税は、工場などで製品を生産し、支店などの販売拠点で顧客と接して、そこで製品を受け渡すことを前提としている。したがって、製品を売って上げた利益は、生産拠点や販売拠点という物理的な施設(恒久的施設、PE)に着目して、そこで計上された利益に法人税を課せばよかった。国際的な法人税の課税原則として、「PEなくして課税なし」という原則が確立している。

しかし、それでは、無形資産を用いて提供されるサービスから上がる利益にはうまく課税できない。そもそも、無形資産を用いて提供されるサービスは支店などの販売拠点が不要で、インターネットを介して顧客に直接、国境を越えて販売できる。

独占利潤へどのように課税するか

サーバーなどサービスを提供するための施設がある国で利益を計上していれば、そこで課税すればよいが、そうした施設を低税率もしくは無税の国や地域に置けば、法人税の課税を逃れることができる。それが、国際的な租税回避の源だった。しかも、そうした租税回避は、巨大ネット企業以外でも同様に可能な方法である。

そこで、デジタル課税ならではの論点として、GAFAに限らず、無形資産からの収益をどのように定義づけて課税するかが問われることになった。PEを置いて同様のサービスを提供している企業は税金を払うが、PEを置かなければ税金を払わなくてよいことになる従来の課税原則を、国際的に改めなければならない。

2つ目の焦点は、独占利潤への課税である。無形資産からの収益は、ほかの収益と異なる大きな違いがある。それは、特許権や商標権、データなどの無形資産には独占力があり、それを生かして高収益を上げられることだ。

特許権にせよ、商標権にせよ、データにせよ、競争環境を重視する今日においても、合法的な独占が認められている。そうした無形資産を元手に財やサービスを生み出せば、それは他社には提供できないものとして市場に供給できる。無形資産を用いると、競争的な市場で生み出された利益よりも多い独占的な利益を生み出すことができる。

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