「老後2000万円」問題の落としどころは何か

公的年金、私的年金と税制の横断的な議論を

立憲民主党の枝野幸男代表(中央左)との党首討論に臨む安倍晋三首相(同右)。参院選を前に、老後2000万円問題が政治的争点として浮上した(写真:時事通信)

6月3日に取りまとめられた金融審議会の報告書の記述が「老後30年で2000万円不足するのか」「公的年金だけで老後の生活は成り立たないのか」といった懸念を国民に抱かせたうえ、麻生太郎金融担当大臣が報告書を受け取らないという事態に発展した。

審議会の報告書は、大臣の部下である官僚が組織的に意思決定した決裁文書ではなく、委員である有識者の責任で取りまとめたものだ。したがって、国民から深刻な批判を浴びるような懸念を抱かせないよう、委員は報告書を作成するときに細心の注意を払うべきである。国民から批判を受けるような報告書を大臣が受け取らないという判断は当然ありうる。ただ、これが世論では大人げない態度に見えて、野党も麻生大臣の問責決議案を提出した。

与野党の議論は平行線、現状が放置されるだけに

加えて、「年金の検証、またも安倍内閣の鬼門になるか」で触れたように、今年は5年に1度行われる公的年金の財政検証の年である。ところが、参院選前に財政検証の結果が公表されず、6月19日に国会で開催された党首討論でもそのことがやり玉に挙がった。安倍晋三首相は「(年金財政について)検証している最中であり、報告は受けていない。政治の状況にかかわらず、しっかりと専門家が出てきて検証し、報告をしてもらいたい」と答弁した。

ただ、こうした事態の展開も参院選があってのことである。「安倍一強」の構図を崩しきれない野党が、ほぼ唯一となった政府批判の材料として「老後2000万円」問題を取り上げた面は否めない。

これまでの与野党の質疑を見ていても、老後2000万円問題に端を発した老後生活の不安を解消できるような建設的な具体案は出てきていない。このままでは、議論が平行線に終わって現状が放置されるだけである。

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