半減案も浮上、「専業主婦の年金問題」の核心

適用拡大と公的年金等控除縮小で解決に

専業主婦の年金のあり方をめぐり、働く女性とそうでない女性との不公平感が高まっている(撮影:今井康一)

元号が令和に変わる頃、専業主婦の年金給付半減案がネットをにぎわした。今の仕組みでは、夫が会社員や公務員である専業主婦は、年金保険料を払わずに基礎年金を受け取ることができる。専業主婦が老後に受け取る年金給付を半減する案が、今年行われる年金改革の議論の選択肢にあるかのように報じられた。

これに触発され、ネット上では「働いている女性は年金保険料を払っているのに、年金保険料を払わずに年金給付が受け取れるのは不公平だ」「専業主婦も無給で大事な家事をしている」「そもそも年金問題を働く女性と専業主婦の対立をあおる形で議論するのはおかしい」といった声が出た。

専業主婦の年金は今に始まった問題ではない

ただ、「専業主婦の年金給付半減案」なる案は議論の俎上に載ってもいないだけに、乱暴なだけでなく、非生産的な話題だったと言わざるをえない。

専業主婦の年金問題は、今に始まったものではない。今の年金制度では、会社員や公務員である被保険者の無業の配偶者は、年金保険料を払わずに基礎年金を受け取ることができる。その立場を「第3号被保険者」という。冒頭の報道は第3号被保険者の年金の話であり、それは専業主婦(女性)だけではなく、専業主夫(男性)にも当てはまるから、女性を差別した話ではない。

ちなみに、会社員や公務員で所得があって自ら年金保険料を払って厚生年金に加入している被保険者を「第2号被保険者」、農家や自営業者、非正規雇用者など厚生年金に加入していない(代わりに国民年金に加入している)被保険者を「第1号被保険者」という。

無業の配偶者でも、第1号被保険者の配偶者(例えば、自営業者や非正規雇用者の配偶者)は第3号被保険者にはなれず、収入が少なくても自分の分の年金保険料を払わなければならない。つまり、第3号被保険者は第2号被保険者の無業の配偶者に限られている。以下では、第3号被保険者は女性が多いことから「専業主婦」と呼ぶこととする。

わが国の公的年金制度においては、1986年から専業主婦にも年金受給権を与えることになった。これは、専業主婦が若いときに自分の収入がないことから年金保険料を払わなかったために、老後に夫に先立たれた後、自分の年金給付がないことで生活が成り立たないようなことにならないよう配慮したものだった。

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