副業・兼業に立ちはだかる「壁」とは何か

副業の働き方次第で社会保険料負担は異なる

人手不足が深刻になり、政府は成長戦略の一環として副業や兼業を促す取り組みを検討している(撮影:梅谷秀司)

人手不足が深刻化する中、副業や兼業を促す取り組みが検討されている。今年6月に取りまとめ予定の成長戦略に、副業や兼業の促進策が盛り込まれる方向で議論が進んでいる。

経済産業省の産業構造審議会「2050経済社会構造部会」が4月15日に開催され、労働市場の構造変化の現状と課題について議論された。その中で、副業・兼業の推進が俎上に載った。総務省の就業構造基本調査によると、副業とは主な仕事以外に就いている仕事を指す。

同部会では、副業がある人のうち9割が本業に支障がないと回答し、2割が本業のモチベーションや集中力が高まったとの調査結果や、副業経験者は副業経験がない従業者に比べて、思考・分析タスクが36%高いとの分析結果が示された。

実際に副業を持つ人は横ばい傾向

他方、同調査によると、副業を希望する人は2002年の331万人から2017年には424万人に増加しているが、実際に副業がある人は2002年の255万人から2017年に268万人へと横ばい傾向となっている。「過重労働になり本業に支障をきたす」「労働時間の管理・把握が困難になる」「人材の流出につながる懸念がある」ことなどを理由に、企業が従業員の副業・兼業を認めないケースがまだ多い。

4月16日に首相官邸で開催された「中途採用・経験者採用協議会」では、出席した中小企業、ベンチャー企業の経営者から、大企業における兼業解禁をさらに進めるべきとの意見も出された。会議で安倍晋三首相は「人生100年時代を迎え、兼業を進めていきたいと考えており、次回の未来投資会議の場でも議論を行い、この夏の成長戦略の決定において、検討の方向性を示したい」と表明した。

企業側の兼業禁止規定については、すでに規制緩和されている。厚生労働省は2018年1月にモデル就業規則を改定し、労働者が守るべき「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業についての規定を新設した。以前に定めた就業規定のままの企業は兼業禁止が残ったままになっているが、厚労省がモデルとして示す就業規定には兼業禁止規定は存在しない。今後の焦点は、副業を希望する従業員にどこまで副業を認めるかだ。副業を希望しない従業員にまで副業を促すという話ではない。

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