義両親、実母の介護を経験した58歳女性の壮絶

育児と介護のダブルケアをどう乗り越えるか

母はデイサービスでリハビリに励み、歩けるところまで回復した。

だが2014年、骨粗鬆症が悪化。救急車で搬送され、そのまま入院。数日後、院内感染により熱発した。主治医は「薬が効きません。もう治療しなくてもいいですよね」と香川さんに訊ねる。

その頃妹たちは、母の介護に対する考え方の相違から疎遠になっていた。香川さんは「母の存在は自分たちの支えになっている」と思い、病院に交渉を試みる。

「院内感染は病院側の管理の問題です。『薬が効かない』『治療やめます』では納得がいきません」。すると病院側は、「できるだけの対処はしてみます」と応え、配分が難しいという薬を投与。母は持ち直し、退院することができた。

命を永らえさせ、かえって苦しませてしまった

ところがその約2週間後、様態が急変。再度入院して検査したところ、足の壊死が発覚。薬の副作用で糖尿病を発病していた。治療法はなく、「膝上から切断するしかない」と医師に告げられる。

「両足を切断して幸せかな。私なら切断してでも生きて、息子の成長を見ていたい。でも母は高齢で認知症もあり、自分では排泄も食べることもできなくなっていました。院内感染したときには、ここまで考えもしなかった。私のせいで命を永らえさせ、苦しませてしまったんです」

早く切断しないと身体中に毒素が回り、とても苦しい状態になる。妹たちに連絡しても返事はない。切断するかしないかの判断は、香川さん1人に委ねられた。

「私はその頃、片づけ支援サービスを提供するライフオーガナイザーの資格を取り、活動を始めていました。恥ずかしい話ですが、私は決断できないまま、生前整理の2級講座を受けに行ったんです」

香川さんが病院に戻ると、母は体中管だらけだった。足は切断されていない。その代わりに、痛みを緩和するモルヒネの投与や、水分や栄養を入れるための管につながれていたのだ。

母は約2カ月後、84歳で亡くなった。

香川さんは現在、片付けや生前整理のプロとして「大切なものを選ぶ片付け」を教え、「寄り添い片付けサポート」を提供している。

次ページ自分の心や過去を整理したかった
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 会社を変える人材開発の極意
  • 就職四季報プラスワン
  • はじまりの食卓
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
北朝鮮が「新戦略兵器」?<br>強硬姿勢アピールの舞台裏

昨年末「新たな戦略兵器」との発言が報じられた金正恩委員長。強硬路線を取るとみられたものの、報告内容をよく読むと「自力更生」と経済の重視に力点があります。北朝鮮、米国、韓国、日本それぞれの立ち位置を考察します。