言われれば納得「タピオカブーム」の意外な本質 単にインスタ映えするだけではない

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だが、それより大きいのは、お茶自体の味がしっかり出ていて、「おいしい」と感じさせるブランドが多いことだ。台湾は、発酵度合いもさまざまなお茶をたくさん産出し、喫茶が日常になじんだお茶大国。緑茶や烏龍茶をミルクティーにする発想も、ミルクティーと言えば紅茶というイメージしかなかった日本では、新鮮に見える。透明なコップに入ったお茶に、タピオカの黒い粒が浮かんでいるさまは、インスタ映えもする。

3つ目の理由は2010年代に入ってから続く、台湾ブームだ。外務省が調査した2012~2016年の日本人の訪問先ランキングでは、台湾が4位。JTB総合研究所のデータでは、2019年3月の出国者数が韓国に続いて2位で、約21万6000人に及ぶ。雑誌などでの特集も多い。台湾で、タピオカミルクティーを知った人も多いだろう。

数年前に出店を打診された

そして4つ目の理由はお茶自体のブームだ。実はお茶の流行が、タピオカミルクティーのブームを下支えしているのではないか。そう考えさせるエピソードをご紹介しよう。

4月25日、フランチャイズのティースタンド、「Chatime(チャタイム)」をJR・小田急の町田駅前にできた新しいビル、AETAにオープンした加藤勤氏。書店やデイサービス、スーパーなどのグループ会社を擁する桝屋の社長を務める。グループ会社のうち、飲食店や配送業を営む藤産業と書店チェーンのブックスタマの社長も兼任している。

チャタイム町田店(筆者撮影)

中国語を学んだノウハウを本として出すほど、中国や台湾が好きな加藤社長。台湾には毎年家族旅行で遊びに行く。タピオカミルクティーを知ったのは、30年ほど前の学生時代、初めて台湾に行った折だった。緑茶のブレンドティーなど、日本にはない発想のお茶とも出合い、中国茶にハマった。その後就職し、独身寮でわざわざお茶をポットで淹れていたという。今も毎日中国茶を飲む加藤社長は、「台湾は、町のティースタンドのお茶もおいしい」、とレベルの高さを証言する。

チャタイムの出店は数年前、仕事を通じて打診されていた。「タピオカミルクティーがブレイクし始めた2年前、新大久保の店の売り上げがすごくいいと聞いて、本気で出店場所を探し始めました」と振り返る。

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