「グーグル翻訳」で世界と仕事する84歳の英語術 ノリは「大阪人」くらいでちょうどいい

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きっとその人も、日本人がいない場所で、ホテルでチェックインをしなくちゃいけない状況になったら、どんなにめちゃくちゃでも英語を話そうとするはずです。下手でも、ここで英語を使わないと今夜は野宿しなくてはならないわけですから。

でも、日本人も周りにいるパーティーだと、だんまりを決め込んでしまう。日本人が複数人いると、日本人とばかりしゃべるというのも、よくない慣習です。

この恥の気持ちはどこからきているのでしょう。こうした恥の意識が強いことは、日本という国にとってもマイナスだと感じます。海外にいる日本人が積極的に英語でコミュニケーションすれば、日本のプレゼンスはもっと上がるはず。誰もかっこ悪いなんて思ってないですよ。

なお、ネイティブに近い帰国子女も日本人には敬遠されることがあるそうです。「キザなやつだ」「変な発音」とかえってバカにされた経験があるという話をよく聞きます。これは「みなさん、ご一緒に」の国では、よくも悪くもひとさまと違ったことをしてはいけない、ということなのでしょう。「なにか言われても平気。自分なりにやるからいいわ」と開き直るしかないですね。

「大阪のおっちゃん」の見事な…日本語? 英語?

ここで参考になるのが、大阪の人のメンタリティーです。以前、オーストラリアのシドニーのお土産屋さんに行ったら、先客に典型的な「大阪のおっちゃん」がいました。

彼はまず「ハウマネー?」と値段を聞きました。すると、店員が「12ドル」と答える。そうしたら、「もっとチープ!」と大声で値切り始めました。「もっと」が日本語だなんて細かいことは気にしない。それでも、ちゃんと値切り交渉ができているんです。

この様子を見て「英語を学ぶ日本人に足りないものが、大阪の人にはある……!」と思いました。単語や文法がわからなくても、伝えたいことを一生懸命大きな声でいう。その姿勢がなにより大事だからです。

考えてみると、大阪の人は日本でもよく商品を値切っています。百貨店だろうと、家電量販店だろうと、とりあえず値切ってみる。安くなったら儲けもん。これはきっと、大阪が商売で栄えた商人の町であることからきているのでしょうね。私も出身が兵庫県なので、こうした大阪の感じはよくわかります。

そしてこの「大阪人」の特徴は、今や世界中で活躍している中国人とも通じるところがあります。せっかちなところやはっきりものを言うところも、似ています。

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大阪の人は外国の人から見ると、他の地域の日本人よりも、比較的声が大きく、身振り手振りが激しく、人懐っこいと感じられるようです。この性質ってすごく英語を話すのに向いていますよね。またお笑いの文化があるせいか、男女問わずポンポン話す人が多いのも大阪の人の特徴。発話量が多いのは、外国語を習得する際に大事なことです。英語を学ぶときは、身近な大阪の人を見習ってみてはいかがでしょうか。

いくら熱心に外国語の勉強をしていても、家で「メシ、フロ、寝る」しか言わない人が英語になったら急に雄弁になるなんて考えられません。

また、「アレはどこへいったかな」「ああ、コレですね」「ソレソレ」というような「身内限定会話」だけで過ごしておられる方がどんなに外国語を熱心に勉強しても限界があると思います。まずは、日本語で「自分の言いたいこと」を、正しく、簡潔に、相手の気持ちを傷つけないように、話せるようになることが大事だと思います。

若宮 正子 世界最高齢プログラマー

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わかみや まさこ / Masako Wakamiya

1935年東京生まれ。東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)へ勤務。定年をきっかけに、パソコンを独自に習得し、同居する母親の介護をしながらパソコンを使って世界を広げていく。1999年にシニア世代のサイト「メロウ倶楽部」の創設に参画し、現在も副会長を務めているほか、NPO法人ブロードバンドスクール協会の理事として、シニア世代へのデジタル機器普及活動に尽力している。2016年秋からiPhoneアプリの開発をはじめ、2017年6月にはアメリカ・アップルによる世界開発者会議「WWDC2017」に特別招待される。安倍政権の看板政策「人づくり革命」の具体策を検討する「人生100年時代構想会議」の最年長有識者メンバーにも選ばれた。エクセル・アート創始者。

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