「ある町の高い煙突」はCSRの原点伝える物語だ

実話を題材にした新田次郎の小説を映画化

6月に公開予定の映画『ある町の高い煙突』は、明治期から大正期におこった日立鉱山の煙害問題と、その解決策を模索する物語。 (東洋経済オンライン読者向け試写会への応募はこちら

『八甲田山死の彷徨』『劒岳 ―点の記』などで知られる文豪・新田次郎は、1969年に発表した小説『ある町の高い煙突』(文春文庫)の後書きで「日本は世界一の公害国であり、あらゆる種類の公害が発生し、そしてひとつとして完全に解決したということを聞いた事のない奇妙な国である」と指摘している。

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続けて「公害は、もともと人間が作り出すものが圧倒的に多く、被害を蒙るのも結局は人間である。公害を解決せんがためには、まず人間の考え方を改めねばなるまい」と書いている。

そんな彼が、茨城県の日立市天気相談所所長の山口秀男氏から聞いた「日立鉱山の煙害問題について、鉱山側と被害者側の農民とが、互いに誠意を持って、忍耐強く交渉にあたって、ついにこの難問題を解決したという夢のような話」に感銘を受けた。それをモチーフに書き上げた小説が『ある町の高い煙突』である。

その小説を実写映画化した作品が本作。6月14日よりユナイテッド・シネマ水戸、シネプレックスつくばといった舞台となる茨城県で先行公開される。そして6月22日から有楽町スバル座ほかで全国公開される予定だ。煙害をなくそうと命をかけて環境破壊と闘い、誇りを守るために立ち上がった若者たちの姿を描き出している。

日立鉱山の煙害問題とその解決策を描く

物語の舞台は、1905年に開業した日立鉱山。豊かな銅の埋蔵量を誇った日立鉱山は、軍備拡大による日本の産業の近代化という時流にのり、開業からわずか数年で日本有数の銅山に成長した。だが、鉱山での銅の生産量が増加することに比例して、周辺地域におよぼす煙害が本格化。鉱山から排出される亜硫酸ガスは、周辺の草木や農作物を枯らせるなど、甚大な被害をもたらした。

そんな惨状を目の当たりにし、立ち上がったのが、旧制一高に合格して外交官になるという夢を捨て、村に残ることを決意した地元の若者・関根三郎(農民側の代表として煙害問題に立ち向かった関右馬允がモデル)である。

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