金融市場の大崩壊が近い将来に起こりうる理由 債券市場の暴落ドミノはありうる話だ

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中国側も、4月12日になってアメリカからの輸入品600億ドル分の関税を25%に引き上げると発表。米中貿易交渉は暗礁に乗り上げた形になっている。

そんな状況の中で心配されているのが、再びリーマンショック級の金融危機が訪れるのではないかという懸念だ。リーマンショック時には、信用市場を舞台にした債務担保証券が金融危機のきっかけになったが、今回もまた予期しない金融商品が金融危機の引き金になる可能性がある。

昨年末に指摘されていたアメリカ株式市場のバブル崩壊も、今度こそ本気で心配しなければいけないかもしれない。12月24日の株価暴落はなぜ回復できたのか、再びリーマンショック級のリセッション(景気後退)はないのか。

「GAFA」引き継ぐ「IPO相場」の失敗が意味するもの?

昨年末の急落からあっという間に株価が回復した背景には、FRBの金利引き上げ観測が遠のいたこと、そして米中貿易交渉の楽観的な観測があった。とりわけ大きかったのが米中貿易交渉への楽観論だった。この部分に不透明感が漂って株価は急落したわけだが、救いなのは6月に予定されている日本での「G20」でアメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席との直接交渉がセッティングされていることだ。

言い換えれば、6月のトランプ習近平会談までは株価の大暴落はなさそうだ。もっとも、そのG20での会談が不調に終わった場合はさらなる暴落も予想される。いよいよアメリカ株式が本格的な調整局面に入るかもしれない。

ただ、実は米中貿易交渉だけが金融市場の不安材料ではない。例えば、アメリカ株式市場の将来を握るIPO(新規公開株)が ここにきて立て続けに失敗するなど、アメリカ株式市場に対する不安材料が高まっている。

これまでアメリカの株式市場を牽引してきた「GAFA」(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの頭文字)に続く成長企業として期待されていたライドシェア大手の「Lyft」「Uber」が新規上場した際、相次いで新規公開価格を上回ることができないなど、アメリカ株式市場のパワーの衰えが見えてきている。Uberの新規上場の失敗は、同社に多額の出資をしているソフトバンクグループの株価にも影響した。

アメリカ経済をこれまで牽引してきたIT産業が、おかしくなりつつある現象といっていい。しかも、5Gなどの新世代の通信事業では中国が先行しようとしており、未来永劫アメリカ経済が世界の最先端を行くという市場の見立てが、ここへきて狂ってきている。

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