リクシル、「取締役総入れ替え」でも深まる混迷 会社案と瀬戸案、株主はどちらを選ぶのか
ただし、会社側の取締役候補に入った鬼丸氏、鈴木氏については、発表時点で本人は受諾しておらず、「昨日の指名委員会で決まり、すぐ瀬戸氏に連絡をとるように頼んだ」(菊地氏)というレベル。
案の定、会社の会見後に報道陣の取材に応じた瀬戸氏は、「正直言って驚いた。事前に話をしないで決めるのはいかがなものか。指名委員会や取締役会のプロセス、コミュニケーションの常識の点で問題があるのではないか」と厳しく批判した。
今後の焦点は、株主総会で会社側提案と瀬戸提案のどちらの人事案が株主の賛成を集めるかだ。一連の件で最大の問題とされていた潮田氏が退任したため、株主はこれから何をポイントに会社案と瀬戸案を選ぶのか、難しい選択を迫られる。
深刻なコミュニケーション不全
この点について瀬戸氏は、「経営の継続性を考えると、自分の提案が一番だ」と主張する。瀬戸案の場合、3人の取締役が続投し、1人が内部昇格となるからだ。会社側の提案に対しては「候補者を排除するようなことはしないが、本当に潮田氏の影響がないと言い切れるか。株主には『特定の個人(潮田氏)に影響されない人を取締役に選任してください』というお願いをしたい。委任状争奪戦をするようなことはしない」という。
ガバナンス不全の根本には、LIXILグループにおける深刻なコミュニケーション不全がある。
瀬戸氏の辞任の経緯を当初から十分に説明しなかっただけではない。4月18日の業績予想を大幅に修正した会見で、大勢のメディアを前に潮田氏は「取締役会でまったく説明はなかった」「私は38年取締役をやってきて、最大の失敗は瀬戸氏をCEOに任命したことだ」と断言。さらに潮田氏が取締役と執行役の辞任を明言した直後に「アドバイザーになってくれと言われればわからないけど」と発言したことで、混乱に拍車をかけた。
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