副業にも「嫁ブロック」夫の自由とはどこまでか 夫たちの前に立ちはだかる「給料の壁」

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日本の企業が男性に求めてきたのは、1日8時間、週40時間は「最低限」で、それ以上が「普通」という働き方です。「最低限」に抵触してしまうため、有休さえ取りづらい雰囲気があります。

男性の育児休業取得率は過去最高となった2017年度でも5.14%にすぎないことからもわかるように、どのような理由であっても、長期間にわたって職場を離れることはできません。だから、副業も認められにくいわけです。

以前、社会学者の宮台真司先生がハロプロ関係のアイドルと舞台のイベントをやった際に、壇上から「地方公務員の方は手を挙げて」というと会場の半分以上が挙手したそうです。すべての地方公務員に当てはまるわけではありませんが、傾向として9時5時で働いて、土日は確実に休めるから趣味に没頭できると宮台先生は解説しています。

今、副業を検討されているということは、転職された会社では副業自体は可能なわけですから、1日8時間、週40時間が「最低限」ということはないはずです。アイドルを応援する地方公務員の方々のように、まずは業務以外の時間を使って副業をしてみてはいかがでしょうか。

「やりたいこと」を実現させるには

基本的に、どの仕事でも時間を増やせば成果は上がりますし、時間が減ればその分だけ成果は落ちます。そのため、「やりたいこと」をするという相談者さんの目的からすると、副業により多くの時間を割きたい気持ちは十分に理解できます。でも、安定した一定の収入を確保することで、家族は安心できるはずです。

今後、副業の割合を増やしたいのであれば、制限があるからといって諦めてしまうのではなく、とにかく相談者さんが自分の「やりたいこと」を継続することです。それと同時に、どのような家族を作っていきたいかを視野に入れておいてください。

相談者さんが仕事にも副業にも真剣に打ち込んでいる姿を見ていれば、家族が持っている「普通」の男性のイメージも変わってきます。

男が1つの会社で定年まで働くことだけが〈現実〉ではないと理解できるようになれば、そこに自分たちなりの家族スタイルを作る余地が生まれてくるはずです。このときに、相談者さんなりのビジョンがなければ、副業への挑戦は自分が「やりたいこと」を優先して、家族を不安にさせるだけのわがままな行動になってしまいます。

田中 俊之 大妻女子大学人間関係学部准教授

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たなか としゆき / Toshiyuki Tanaka

1975年生まれ。2008年博士号(社会学)取得。武蔵大学・学習院大学・東京女子大学等非常勤講師、武蔵大学社会学部助教、大正大学心理社会学部准教授を経て、2022年より現職。男性学の第一人者として、新聞、雑誌、ラジオ、ネットメディア等で活躍している。

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