「女は家事、男は仕事」は、誰に対する差別? 女を閉じこめ男を酷使する、古い価値観

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人工知能学会という、人間に近い知能を持つハード/ソフトウエアを研究する学会の学会誌の表紙です。「斬新やん、何が悪いねん?」という人、「なんか女性差別」と感じる人、「興味もない」という人……。もちろん人それぞれだと思うのですが、この反応は、明らかに女性と男性で分布が異なるはずです。

マーケティング的に考えてみましょう

とりあえず、マーケティングを例に使って考えてみましょう。居酒屋に行くと、ビールの宣伝で水着の女性が出てくるポスターがよくありますよね。各ビール会社は、毎年イメージガールを選んでおり、たとえば井川遙は2000年のアサヒビールのイメージガールです。

では発泡酒やいわゆる第3のビールの宣伝で、水着の女性の写真を見たことはありますか? まず見つからないはずです。なぜでしょう?

理由は簡単で、発泡酒というのは、多くの場合、飲むのは男性(帰宅したサラリーマン)でも、買うのは女性(主婦)だからです。つまり居酒屋でポスターにつられておカネを出すのは男性なのに対し、発泡酒の場合、財布のひもを握る女性に対して訴求力のないような広告はありえないのです。

少し別の路線から行きましょう。バブルの絶頂期、先行していた武田薬品の「アリナミンVドリンク」を追いかけるように、(当時の)三共は「リゲイン」を売り出し、一連のCMを打ちました。1988年、みなさんご存じの「24時間戦えますか?」というコピーと共にです。テーマソングとなった「勇気のしるし」は、CDやカラオケでも大ヒットしました。当時は私も20代。夜中まで、というより夜明けまで論文を書いていましたから、そのときはこのCMに特に違和感を持たなかったように記憶しています。もっと正確に言うと、テレビなんて見ている時間など、ほとんどありませんでした。目の前の膨大な課題に追われるだけだったので。

アリナミンVドリンクの側は、この後、1990年からアーノルド・シュワルツェネッガーを使って、「大丈V」を連呼します。私にとっては一息ついた博士課程の頃。かつてのクラスメートがたいそうなボーナスをもらっているときに、学費を払わねばならず、きつかったのですが、それでも金銭的な剥奪感があっただけで、「世の中の人は元気やのぅ……」と、どこかで達観していた気がします。

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