乱射事件が起きた学校を襲う「聖地巡礼」の恐怖 20年目の節目を迎えたコロンバインの今

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1999年4月の銃乱射事件から20年目の節目を迎えるアメリカ・コロラド州のコロンバイン高校では、新たな懸念が浮上している(写真:BanksPhotos/iStock)

アメリカ・コロラド州デンバー郊外のコロンバイン高校で銃の乱射事件が起き、生徒12人と教師1人が命を落としたのは1999年4月のことだ。事件から20年目の節目を迎える20日は、祈りと追悼の日になるはずだった。

ところがその直前の17日、周辺地域の生徒たちや保護者、教育関係者にもたらされたのは、事件に強い憧れを持ち、武装した18歳の女がコロラド州に空路、やってきたとの情報だった。万が一に備えて数百もの学校が封鎖され、当局は女の捜索にやっきになった。

地元が事件から解放されることはないという不安

女はフロリダ州に住む高校生のソル・パイスで、その日のうちにデンバーの西の山中で遺体となって発見された。自らを銃で撃ったのが死因とみられる。

当局はパイスが強い決意で行動しているとみて警戒を強めていた。パイスは航空便のチケットを買い、わざわざコロラド州に来て、しかも銃を購入していたのだ。コロンバイン高校のあるジェファーソン郡学区の安全責任者、ジョン・マクドナルドはそうしたパイスの行動を「聖地巡礼」と呼んだ。

学校封鎖や大がかりな捜索を目の当たりにした多くの親は、コロンバイン高校の銃乱射事件が今も襲撃を夢想する人々の心を魅了する力を持ち、地元社会が同事件から解放されることはないのではとの不安を抱いた。

「これは今後にとってどんな意味を持つのだろう」と、同学区の学校に小学1年生と3年生の子どもを通わせているデーナ・グトワイン(34歳)は語った。学校が再開されても、すぐに子どもたちを通わせていいものかグトワインは悩んでいた。

「この1件が始まってからずっと、あと一歩で吐きそうな気分よ」とグトワインは言った。

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