読売中高生新聞「41カ月連続で部数増」のヒミツ 新聞ではなく図鑑のような構成で「共感」重視
「日に日に精神年齢が成長するこの世代にとっては、一方的な押し付けになる紙面ではいけないと考えています。友達と雑談するような感覚で知識が取り込めて、休み時間にクラスで話したくなるような情報の提供が、何よりも大切であると考えています」(同)
若い読者層の共感を呼ぶための記事づくりとは?
では、読売中高生新聞はどのような体制で制作されているのでしょうか?
「制作を担っているのは読売新聞本紙の社会部記者です。100人を超える社会部の記者のうち、現在は10人前後が読売中高生新聞を兼務しています。
なかには、平成生まれの記者もいます。それぞれにおおよその担当分野があり、例えば私はスマートフォン関連や人気アイドルの情報、あるいは『部活の惑星』という各学校の部活動の様子をレポートするコーナーの担当です」(読売中高生新聞編集室・菅原智記者)
専門部署を設けず、あえて社会部記者が兼任で制作しているのは、情報速度や正確性を求めたのはもちろん、スポーツから政治経済までの幅広いテーマを第一線で取材している記者が作ることで、子どもたちにいち早く、そして一番いい情報を届けたいという思いから。週に一度、企画会議の場を設け、それぞれの記者がネタを持ち寄って議論しているそう。
中高生の関心の所在は、やはり大人とは大きく異なるもの。そこで編集室では、プレゼント企画に付随する毎週のアンケートから、読者が知りたいこと、興味を持っている話題を常にリサーチしています。
「ただ、この世代の関心は、本当に多種多様です。アイドルやファッションの情報を求める声もあれば、米朝会談の詳細を載せてほしいという声もあり、正解を導きだすのは非常に困難です。でも、それだけ価値観が多様化している事実が重要で、だからこそできるだけ幅広い話題をカバーするよう心がけなければなりません」(石間さん)
そこで編集室では、読者層である中高生を集めた会議を、定期的に実施しています。メディアに興味を持つ子供たちを募り、これまでの紙面を読みながら忌憚(きたん)のない意見を言ってもらい、さらにコンテンツごとに採点もしてもらうという、ユニークな取り組みです。