読売中高生新聞「41カ月連続で部数増」のヒミツ 新聞ではなく図鑑のような構成で「共感」重視
「こちらとしては自信のあった企画でも、目の前で酷評されることも少なくありません(苦笑)。そうした意見は、もちろん現場にフィードバックして改善のための材料としますが、一方で意見として面白いので、ときにはそれを紙面で紹介することもあります」(石間さん)
こうして中高生から話を聞くのはやはり発見の宝庫。
たとえば「シゴトビト」というさまざまな職業を紹介するコーナーでは、「成功談よりも失敗談のほうが知りたい」との声が上がったり、学校ではスマホが禁じられているため、意外とトランプで遊ぶ子が多かったりするといった事実は、記事づくりに大いに役立っているとか。
スマホ時代に合わせ、「四角い」レイアウトに
また、レイアウトの点でも、さりげない工夫がされています。紙面を俯瞰(ふかん)してみると、それぞれの記事や図はすべて四角いボックス状に収まるかたちにまとめられているのがわかります。
「新聞を読むのに不慣れだと、1つ記事の文章が次の段に移る時、どこへつながっているのかがわかりにくい。創刊前の中高生へのリサーチで、そんな意見が非常に多く上がったんです。
そのため、読売中高生新聞では全ての記事を横書きの四角形で完結するようにし、余白を増やすことでこの点を解消しました。読みやすさを向上させるだけでなく、気になる記事をスマホで撮ってスクラップしやすいよう配慮しているんです」(石間さん)
こうして画像として保存しやすいレイアウトにまとめることで、学校の課題での利用や友達と話題共有がしやすくなるなどのメリットも生まれます。
「新聞の紙面は本来、限られたスペースの中で、その日もっとも重要な情報をできるだけ多く、速くお届けする目的で制作されています。
そのため、どうしてもレイアウトが複雑になる場合があります。一方、読売中高生新聞は週刊。世の中の動きをざっくりと分かればいいので、情報はコンパクトで、分かりやすさ重視。何よりも中高生のリアルな意見を反映し、ゼロベースで考えた結果、現在の形になりました」(同)