消費増税策の是非を議論しない日本はおかしい 「MMT導入論」で盛り上がるアメリカとの落差

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日本ではゆるやかなインフレ政策を実施しているはずなのに、なぜ消費増税のような緊縮財政政策をとろうとしているのだろうか(撮影:尾形文繁)

アメリカ経済の底堅さが鮮明になっている。昨年末の株式市場急落時には景気後退懸念が強まったが、2019年1-3月GDP成長率は年率3.2%に再加速した。年初からのアメリカ株市場の上昇は続き、4月末日も、S&P500指数が再び最高値を更新した。

アメリカの株高を支えている2つの要因

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「同国の株式市場はすでに割高だ」と、バリュエーションの高まりを懸念する声も増えている。だが2018年末から金融市場が動揺した時期でさえ、堅調な経済成長は崩れず同国の企業利益の増加傾向はなお続いており、株価水準は割高とは言い切れないと考えている。

株高を支えている同国経済の底堅さの要因はいくつか挙げられるが、第1に、前回4月17日コラム「アメリカの株高と金利安定は長期化しそうだ」
で指摘したように、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策運営が上手くいっていることが挙げられる。

第2に、アメリカの財政政策が景気刺激的に作用していることも大きい。2018年初から施行された減税政策の効果は、2019年にも成長率をさらに押し上げる方向に働いているとみられる。2018年からアメリカ株の騰落率が日本株などを上回る状況が続いているが、このパフォーマンス(実績)格差の背景には、経済成長を重視するトランプ政権の政策運営が成功していることがある。

ここで、アメリカにおける財政政策といえば、メディアや経済論壇で最近注目されているのがMMT(現代金融理論)である。「政府債務や財政赤字を増やすことは問題ない」などの主張から「異端の理論」とメディアで紹介されている。

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