アメリカの「社会主義化」が妄想ではない理由 2020年の大統領選は1896年の再現になる?
就任以来、ドナルド・トランプ大統領に刺さった棘だったロシア疑惑。トランプ政権が4月18日に「モラー・リポート」を公開したのは、疑惑に終止符をつけ、あわよくば「ロシア疑惑はでっち上げであり、民主党は国民の税金と政治の時間を無駄遣いした」というカウンター攻撃を狙ったものだった。
それなりの効果はあった。だが一部の民主党は弾劾を諦めていない。どうにかして「トランプ大統領は司法妨害をした」というイメージを作り出し、「外国勢力と結託して、国益よりも一族のビジネスを優先した」というナラテイブ(物語)で弾劾に持ち込みたいようだ。
ただ、前にも紹介したように、トランプ大統領はドイツ銀行や中東などの外国投資資金を受けいれるプライベートのビジネスマンのまま大統領になった人である。だからグレーゾーンが残るのは当然。そんなところをつついたところで、恐らく広範囲にはアメリカ国民の支持は得られない。
それを裏付けるように、ノーム・チョムスキー氏は、直近の講演で、
「ロシア疑惑に固執する民主党は、トランプに贈り物をしているのと同じだ」という異例のリベラル批判をしている。
トランプ大統領の2020年大統領再選への戦略とは?
逆にトランプ大統領とすれば「国境警備を疎かにし、最も重要な国民経済では、一部のエリート層だけが潤うグローバリズムこそが国益への反逆だ」と主張すればよい(これはスティーブ・バノン氏の示唆でもある)。そして2020年に向けては、メキシコ国境の壁建設にゆるぎない覚悟を示し、経済面ではFEDに「市場に優しい」政策を続けさせるように圧力をかけ続ける。
そうすれば、万一経済の勢いが、再選に失敗したパパブッシュ(ジョージ・H・Wブッシュ)時代の再現になったとしても、「悪いのは自分ではなく、FEDだ」という構図で乗り切れる可能性がある(「トランプ大統領がパパブッシュから得た教訓)。
そのためには、空席のFRBの理事に自分の意を組む人材を送り込む必要がある。その渦中の候補の1人は、レーガン政権で経済面をささえたメンバーでもあるスティーブン・ムーア氏だ。ムーア氏は、現在トランプ政権で経済を担当するラリー・クドローNEC委員長とともに、当時共和党主流派からは「ブードゥー経済学」といわれたレーガノミクス推進の中心人物だった人である。
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