アメリカの「社会主義化」が妄想ではない理由

2020年の大統領選は1896年の再現になる?

1980年、共和党の大統領予備選で、後に副大統領になるパパブッシュは、競争相手で大統領となるロナルド・レーガン氏が採用した「ラッファー曲線」を使った怪しげな経済政策を「ブードゥー経済学」と嘲笑した。だが後にこれが「レーガノミクス」と賛美されるようになる。

同じように、今は民主党の主流派は進歩派が掲げたMMT(現代金融理論)をブードゥー経済学と蔑んでいる。保守的だった共和党のエコノミストがMMTに触れないのは、「財政拡大は構わない」という共通項があるからだろう。

そんな中、トランプ大統領の支持率は45%前後で安定している。経済以外では、ジョン・ボルトン大統領補佐官がベネズエラだけでなく、キューバとニカラグアもまとめてアメリカの制裁のターゲットとして示唆したのは注目に値する。

ペンス副大統領が「共和党保守派との妥協」をつないだ

ボルトン氏が重要な役割を果たした2003年のイラク戦争が、2004年のブッシュ再選に貢献したことは記憶に新しいが、どうやらトランプ政権は「現代版モンロー主義」を新たに中南米外交に据えようとしているようだ。

一般的にモンロー主義は「アメリカが外交的に引き籠った時代」と解釈されるが、本質は第5代のジェームズ・モンロー大統領が、直前まで戦争をした英国と妥協、英国のスペイン弱体化策(=スペインの植民地を独立させる)に協力したという見方が主流だ。

そんな中、英国がエクアドル大使館に保護されていたジュリアン・アサンジ氏を逮捕したことと、事前にIMF(国際通貨基金)と世界銀行からエクアドルへの経済援助が決まり、マイク・ペンス副大統領がエクアドルを訪問していたことは無関係とは思えない。

これらを総合すると、アメリカは裏庭の中南米に触手を伸ばしてきた中国やロシアに対し、「これ以上は容認しない」というメッセージを発信していると見るべきだ。ただ、シリアやアフガニスタンからの撤兵を掲げているトランプ大統領が、好んでアメリカが再び派兵するような展開を望んでいるとは思えない。恐らく、上院での弾劾を阻止するため、そして再選を睨み、戦争好きな共和党保守派と妥協をしたのだろう。

これらの政治情勢を加味したのか、直近のゴールドマンサックス証券のレポートには「株式市場はトランプ大統領の再選を織り込み始めた」との指摘があった。

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