さて、ビットコインの将来はどうなのか? 正直なところ、仕組みが完全に理解できたわけではないのでわからない。海外送金などの決済システムとして可能性があることは先にも述べたが、ビットコインの価値が普通のおカネに比べて大きく変動しそうであることは間違いないだろう。価値変動のリスクが大きいことで大儲けする人も出てくるはずだが、平均して参加者全員が利益を得るのでなければ、ギャンブルのようなものということになってしまう。
無料の昼飯なのか?
わからないことはもうひとつある。ビットコインのシステムを維持するためのコストである。ビットコインが発行上限に達するまでは、新しいコインの創造がコストを賄うインセンティブになるが、上限に達した後はビットコインの価値が傾向的に増加し続けないとコストが賄えないように思える。経済学の基本のキは「世の中に無料の昼飯はない」(誰かがコストを負担している)という原則だが、ビットコインがこの原則に従いながらどうやって維持コストを賄っていくのかが理解できない。
ビットコインを「交換の媒介」や「価値の保蔵」という機能から考えたときの最大の問題は、価値が不安定なことだろう。価値の変動が大きいということは、逆にリスクは大きいが利益も大きいと考えて利用する人を生んでいる。これが投資なのか投機なのかは、今の時点では評価が分かれるに違いない。
筆者は保険会社のエコノミストだから、当然のことながら危険回避型の人間である。今から参加すれば大きな利益が得られるかもしれないが、リスクが評価できないことには手を出さない主義だ。本当にビットコインが利便性の高い有用なものならば、いずれ社会に定着するだろうから、そのときに利用者になれば、利便性という十分な利益が得られると思っている。
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